「テクノロジー中心主義」を「顧客中心主義」につなげられるか<デジタル・シフトVol.4>

マーケティング・オートメーションツールが実現すること

マーケティング・オートメーション市場は、日本より先行する米国では、市場規模が2011年以降、年率50%以上の成長を続けており、2015年の市場規模は既に2000億円以上にまで拡大すると予測されています(Raab Associates 2015 VEST調べ)。また、国内市場は2014年に168億円程度であったものが、2015年には3割増の220億円にまで伸びる(矢野経済研究所調べ)との予測もあります。

冒頭で「マーケティング・オートメーションは売上拡大に貢献する」と書きました。しかし、マーケティング・オートメーションツールを導入すればそれだけ自動的に売上が増加するわけでは当然ありません。具体的に、マーケティング・オートメーションツールがもたらすメリットを3つ説明します。

1つ目が「分散するマーケティングデータの統合」です。企業のマーケティング施策は多岐にわたり、それぞれ様々なデータが蓄積されます。マーケティング・オートメーションツールは、こうした様々なデータを集約し、統合管理することを可能にしてくれます。

2つ目は、「一斉配信メールからの脱却」です。潜在顧客へのEメール配信は多くの企業で行われている施策ですが、全員に同じコンテンツを送り手のタイミングで配信する「一斉メール」から抜け出せている企業は多くありません。受け手が興味を持つコンテンツが、適切なタイミングで届けられれば、顧客にとっても企業にとってもより意義の高いメール接点が生まれるはずです。

そして、3つ目が「リードのスコアリング(評価)とSFA/CRM連携」です。「大量のリードから直感で営業対象を選び、確度の低いリードに時間を使ってしまう」「SFA/CRMの中に放置されたリードが大量に蓄積されてしまう」といった課題もマーケティング・オートメーションが解決してくれるものの一つです。

マーケティング・オートメーション内のリードデータは特定のロジックで常に評価され、確度が高いと判断されるものだけを営業対象としていく仕組みが構築しやすくなります。また、SFA/CRMの中で放置されたリードをマーケティング・オートメーションツールの側から特定し、掘り起こしのキャンペーン施策などを行いやすくします。

このようなメリットが、デジタルを中心としたマーケティングから営業への商談創出につながり、最終的に売上の増加に貢献する、と言われる理由となっており、日本においても大きな注目を集めています。


田島 学 氏(たじま・まなぶ)
アンダーワークス 代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒。南カリフォルニア大学留学。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にて大手企業Web CRM戦略立案、Webを利用したロジスティックス改善プロジェクト、ダイレクトチャネル戦略立案等に従事。セキュリティ認証事業ベンチャーの立ち上げを経て、アクセンチュアとソフトバンクのジョイントベンチャーであるイーエントリーにて、海外IT企業の日本市場進出コンサルティングを行う。2004年よりコンサルタントとして独立、多くのWebサイト調査分析/戦略立案/構築プロジェクトに参画。2006年4月、アンダーワークスを創業。

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