従業員の本気と行動を引き出すインナーコミュニケーション戦略

「トップダウン型」の情報発信には限界も

並河氏はこれからのインナーコミュニケーションのあり方について、「『自分(たち)がどのような社会を実現したいのか』『社会から自分(たち)がどのように見えているのか』、一人ひとりの自発的な意識変革と行動変革を促すコミュニケーションが必要になる。そして従業員だけでなく、経営層も一市民として社会や顧客と向き合うことが求められる」と予測する。

また、「最終的に顧客と対峙しながら会社のビジョンを体現するのは、従業員一人ひとり。いかに現場にビジョンが浸透しているかが重要です。極論を言えば、給湯室での何気ない会話や、社内メールやSNSの中にビジョナリーな言葉が入ってくるかどうか。そのためには点のコミュニケーション施策では不十分で、継続的な線のコミュニケーション、さらに様々な話者や媒体を通じた面のコミュニケーション設計が必要になる」と指摘する。

実際に同社では、社内報制作や社内イベント運営といった単体の依頼で始まった案件が、最終的には経営企画や人事、総務、採用に至るまで、組織横断のコミュニケーション支援に拡大することが多くなっているという。

例えば、ある大手メーカーから、「トップの方針・想いを従業員に浸透させたい」と、社内報リニューアルの依頼を受けたケース。提案にあたり、「従業員の中でも特にどの層にメッセージを浸透させたいのか」「浸透させることで何を実現したいのか」と社内の様々な人たちにヒアリングを進めていった結果、社内報から、社内イベント、新卒採用コンサルティング、ワークプレイスデザインまで、多面的に支援をすることになったそうだ。

「一つひとつのコミュニケーション施策を効果的に行うためには、全体設計の中で個々の役割を明確にすることが重要です。そのため、特定の施策を型にはめるような形でご提案することはありません。お客さまとの対話の中で、経営課題やビジョンを踏まえた最適なソリューションを導き出しています。前出の会社でも、一見施策はバラバラですが、『共通するコアバリューを持った人材と行動をいかに増やすか』を軸に置いています」。

中長期的な視点で描くコミュニケーション戦略

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イラスト提供/Shutterstock

インナーを第一においたビジョン浸透の重要性は理解するものの、成果が目に見える形ですぐに表れないことに尻込みをする声も多い。こうした状況に並河氏は、「インナーコミュニケーションは、緊急度が低くても、重要度の高いテーマが多い。投資すれば必ず効果は出るので、中長期的な視点で取り組んでほしい」とエールを送る。

そして「効果を出すためには、現場はもちろん、経営層や社内の関連部署を巻き込み、中長期的に企業を変えていく覚悟が必要」と続ける。「現場にビジョンが浸透して、ビジョンに応じた行動が生まれたとします。しかし、それが賞賛され、評価されないと誰も続けていきません。逆にその行動が会社から評価されれば、行動は加速していく。すると今度は、そうした従業員を皆の前で褒めたたえたり、ナレッジを共有したりする場が重要になります」。さらに、共有されたナレッジを小冊子に落としこめば、ビジョナリーな思考や行動を全社に広げていくことも可能になるという。

「もちろん簡単ではありません。こうした施策の実現には、事業部門長や人事部門の協力が不可欠。中長期の視点で、従業員の関係性や思考、行動がどう進化すれば『ステークホルダーを含め皆がハッピーな状態が生まれるのか』を想像し、大きなストーリーを描くこと。そしてそれを実現するために社内を巻き込みながら具体的な施策、表現方法に落としていくこと。そうしたお手伝いに、ゼロインは挑戦しています」。

画一的な伝え方では従業員が動かなくなったと言われる昨今。2016年、成果を生み出す組織変革として、インナーコミュニケーションの見直しに着手してみるのも一手だといえよう。


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