箱根路を行く!東洋大の駅伝広報(3)増える駅伝女子「母校じゃないけど応援したい!」

【過去記事】
「箱根路を行く!東洋大の駅伝広報(2)口町ロケットと「五郎谷」のデータマイニング」はこちら
「箱根路を行く!東洋大の駅伝広報(1)大手町で号砲一発!選手と併走で「数秒」にかける」はこちら

往復200kmを越える長旅から選手が戻ってきます。10区ゴール付近の大手町周辺は早い段階で交通規制になり、到着30分前ごろには沿道は応援する人たちで埋め尽くされています。

ここ数年で、大手町で待ち構えるファンが増えています!

ゴール後のチーム反省会で学長もねぎらい

スタートは選手たちを送り出す声援であり、ゴールは一所懸命走りぬいた選手たちをあたたかく迎える声援です。

例えば、東洋大学の応援コーナーであったとしても、1位で帰ってくる青学の選手たちにも大声援が送られます。これが駅伝という競技のすばらしさだ、といつも思います。

勝ち負けを超えて、懸命に走る選手たちに平等に声援を送る一体感。まさにそうした声援が、選手一人ひとりに響き、走ることができるのだと実感する瞬間です。こうした応援風景を広報することも私たち広報課の大切な仕事。

ファンに見守られながら、学長も集まり、選手たちをねぎらう。

今年は東洋大学の応援コーナーには行かず、道を隔てた反対から東洋大学の応援コーナーを撮影していました。やはりいつになく応援に集まっていただけている人がとても多く、感動した次第です。

ゴール直後、選手たちは大手町のビル街の一角に指定されているスペースに集合、反省会を開きます。主将の(服部)勇馬がチームメイトに涙ながらに感謝の言葉を送り、学長・副学長からはねぎらいの言葉が、そして酒井俊幸監督からは来年に向けての強い意気込みなどが皆の前で述べられました。

男泣きの悲壮感から一転、お正月の大手町に女子も集う

2013年、惜しくも日体大に破れた時、反省会場所の隣はまさに日体大だったのですが、隣はお祭り騒ぎ、我ら東洋大学では、選手も卒業生たちも男泣き。ある種悲壮感漂うものでした。

寒さをものともせず、選手を見守るファンの姿。その光景は数年でずいぶん変わった

しかし、2015年あたりから、「あれ?いつもと雰囲気が違うぞ?」と思い始めました。後輩たちの無念さに熱い涙を流す卒業生たちよりも、帰ってきた選手たちに目を輝かせる「駅伝女子」たちが目立つようになって来たのです。サイン帖を持ったり、なにやら贈り物のようなものを持ったり。少しアイドルの出待ちをしているような雰囲気でもあります。

特に今年は、写真のように十重二十重と戦いを終えた選手たちを見守る眼差しの多さに、わずか数年でここまで応援の雰囲気が変わるものなのか?と我ながら意識を新たにしましたが、準優勝での悔し涙がこうしたファンに救われているような、とてもありがたく感じました。

新たなファン層へ恩返しを–広報課の次回への宿題

選手個別の囲み取材や日本テレビのムービー取材などに紛れた「駅伝女子」たち。こうした彼女たちに支えられて箱根駅伝の楽しみ方もどんどん変化していく予感があります。

駅伝選手たちの活躍は、出雲・全日本・箱根とテレビで見ること以外にも、スポーツ番組などでもその活躍を時折見ることができますし、スポーツ新聞でもその活躍ぶりはチェックできます。練習なども遠くから見ることもできる。しかし、選手たちは普段は普通の大学生というように、等身大の学生アスリートの魅力が彼らにはあるのだろうと思います。そこに彼女たち「駅伝女子」の心理をくすぐるものがあるのでしょう。

お正月の大手町、外は肌寒く日も当たらないビル街に、あえて出身校でもない大学の選手たちを応援するために集まってくれる彼女たち。こうした新たなファン層を広報としてどうフォローしていくか、大きな宿題を貰った思いがしました。

今まではどちらかというと、インナーにスクールカラーを定着させたり、関係者の応援を増やす方策を考えることが中心の広報活動でしたが、さらにその周辺にいる、こうした「駅伝女子」のようなファン層に対して、応援いただいていることへの広報的な恩返しができないものか?と考えたのです。

具体的にはまだノープランですが、学生アスリートとしての矜持を守りつつ、来年はさらにより多くの方々に応援いただけるような広報の取り組みをしたいと強く意識した今回の箱根駅伝でした。

先ほどの反省会の時、竹村学長は選手たちを称えて万歳三唱をしました。確かに優勝を逃したことは悔しいことですが、強力なライバルたちに囲まれて、準優勝を手にできたことは、選手たちの頑張りや応援してくれた皆さんがあってこその栄誉であり、それを学長は万歳三唱で称えたのです。勝ち負けを越えた選手たちの頑張りにこうしたエールを送ることに学生スポーツの真髄と応援の本質を見た思いがしました。

選手たちは箱根駅伝翌日の1月4日から早くも練習を再開したそうです。もう次の第93回大会へ向けてスタートしているのです。

2016年、我が広報課も箱根路を駆け抜けた選手たちのように、「応援したい大学」めざして全力で駆け抜けねばなりません。

(おわり)



榊原康貴(さかきばら・こうき)
東洋大学 総務部広報課 課長

東洋大学で教務、入試、専門職大学院設置、就職・キャリア支援、通信教育などを担当。2012年6月より広報課へ。学校法人全体の広報活動や大学ブランディングに注力。15年3月に修了した大学院では、学生不祥事に関わる大学の責務や危機管理について研究。日本広報学会所属。

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