「食とヘルスケア」に特化したPRに強み
食品・ヘルスケア領域に特化したPR会社であるエムスリー・カンパニー。総合PR会社、メーカーの宣伝部門を経て同社を立ち上げた代表取締役社長の松本淳氏は、約20年にわたり食とヘルスケアのPR分野で第一線を走ってきたプロフェッショナルだ。
同社のポリシーは、PRを通して消費者に「価値転換を起こす」という点だ。「例えば、食品業界において2015年最大の価値転換といえば『おにぎらず』でしょう。海苔というジャンルはその使用用途が限られており、その消費スタイルにあまり変動のない商品でした。しかし、そこに『おにぎらず』という新たな選択肢が生まれたことで、消費者の間で価値転換が起こった。私たちもこうした価値転換を起こし、情報発信する側の価値に共感してもらうことで、生活者の日常に入り込めるようなPRを目指しています」。
そんな松本氏は昨今の食品業界は「アウトソース化」「スマート化」の時代に突入したと分析する。そのような変化の背景にある消費者のインサイトを読み解くのも、消費財のPRにおいて重要といえる。
「例えば、いま生鮮食品売り場の中でカットフルーツやカット野菜のコーナーが急激に拡大しています。少し前までは消費者の手間を省くような簡便さを追求した商品を使えば『手抜きだ』と言われていました。しかし、主婦層の中で意識の変化が起こり、いかに家事を時短し、スマートに合理化するかが“素敵な主婦”の条件となっていますよね。こうした消費者のインサイトを汲み取りながら、それを上手くドライブしてあげることがPR会社に求められているのです」。
しかし、一言で「ドライブする」と言っても一筋縄ではいかないもの。消費財のなかでも特に食品は商品の回転が速く、定番ブランドに育てるまでのマーケティングが難しい。競合環境も激化するなかで、クライアントの課題も複雑化している。
「以前、クライアントに、食品のマーケティングには『心を開く』『財布を開く』『胃袋を開きつづける』という3つの『開く』が重要だと教わりました。また、食品を扱う難しさは、消費者に続けてもらうこと。胃袋の大きさと財布の中身には限りがあるため、商品を生活者の暮らしに入り込ませるためには、いま食べている物と代替するか、一緒に食べてもらえるように提案するしかないのです」。
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エムスリー・カンパニー
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