2016年のデジタルマーケティングトレンドは:ビジネス貢献、人財確保・育成、自己実現(含CSP)の加速
筆者が考えるデジタルマーケティングトレンドとしてはビジネス貢献、人財確保・育成、自己実現(含むCSP)の加速の3つである。
ビジネス貢献
今までのデジタルマーケティングは企業による濃淡はあるものの、ともするとカタログ的にホームページで情報発信する事が多かったという気がしているのだが、今後はビジネス貢献がより求められる。その変革が2016年、2017年の予算編成で現れてくるのではないかと考えている。
1)売り上げの大半がデジタルを主戦場とする企業は今までもそうであったように、当然ながらデジタルへの流入を促し、IoTやサービスモデルをスマートフォンに合わせて進化させてゆくだろう。
2)デジタル経由の売り上げが補完的な企業やB to B企業であっても、第三者含むBig Data活用やMAツールの普及によりデジタル投資を増やしてくるであろう。当初はデータベースの整備やDMPなどのインフラ整備に集中するが、告知などの投資もそれにつれ大きくなってくると思われる。また、IoTの進展により継続した収入源としてデジタル投資意欲も高まってくると考えられる。
3)上記により今まで全くデジタル投資を行ってこなかった企業も、競争戦略上この領域に踏み込まないと良質なユーザーを囲い込むことが難しいため、投資を始めると考える。
それらの導入の際に勝ち組となるのは、きちんとしたKPIを設定し、経営への貢献を可視化し、高速でPDCAを回し改善を積み上げる企業ではないか。
人財確保・育成
マーケティングの予算を確保することは会議でできても、仕組みを回すのは人であり、色々な意味でデジタル人「財」が枯渇してくるであろう。KPIを設定しPDCAを構築しても運用する人が必要であり、MAツールを導入してもシナリオは人が作らなければならないし、データを集めても分析しなければそれを活用できない。
特に日本では語学の問題などやマーケットの特殊性もあり、急激に人財を増やすことは至難の業であると考える。機会があれば違う記事で詳しく紹介したいが、ヤフーCSOで一般社団法人データサイエンティスト協会の理事である安宅和人氏は「日本はデータサイエンティストが足りないので世界に後れを取る可能性がある」と警鐘を鳴らしている。同協会では昨年人材育成のために2カ月ほど前の2015年11月にデータサイエンティスト スキルチェックリストを公表した。
自己実現(含むCSP)の加速
物が満たされ、コミュニケーションが活発化している世の中では、消費行動や生活行動も大きく変わってくるであろう。自分に合った製品やサービスを探すだけではなく、自分が企業と一緒になって製品やサービスをつくり、それを改善あるいはカスタマイズしてゆく傾向がますます強くなってゆくであろうと考える。
フィリップ・コトラー教授の提唱するMarketing 4.0に加え、消費者の自己実現をサポートするプラットフォームConsumer Side Platform: CSPが顕著となり広まってゆく可能性が高いと考えている。ポイントやマイナンバー制度などで消費者が自分の情報を開示すればするほど、その見返りに自分のメリット(自己実現含む)を満たすことが期待され、それを実施する企業が受け入られる可能性が高くなると考えられるからである。
と、紹介してきたように2016年は大きな転換期であると考えており、この数年の立ち振る舞いでその後に生き残れる企業となるかがかかっているような気がしてならない。機会があれば、こうした点について皆様と議論してみたい。