今だから話せる!?「芸能人は歯が命」CM制作の舞台裏(ゲスト:佐藤由紀夫さん)【前編】

仲のいい友人は芸術家の会田誠さんと小沢剛さん

澤本:僕たちも由紀夫さんもCMを企画してますが、僕や権八は大学も文系だし、美大じゃないけど、由紀夫さんは東京芸術大学出身で。

中村:由紀夫さんは噂によると大学のご友人に変わった人が多いと。

佐藤:この前、このラジオで話題になった会田誠と「相談芸術」の小沢剛という。

澤本:相談芸術の話を聞いてくださいよ。僕は素晴らしいと思っている。

中村:なんですか、相談芸術って?

佐藤:小沢という奴がいて、学生の頃、あいつら油画ファインアート系はいきつくところまでいっちゃってて「絵を描いたら負け」みたいな風潮があったんです。そのときに小沢は「“絵画というものは誰の意見も聞かずに100%主観で書くべきで、そうやって描いたものがたまたま世間で認められればその絵は名画である”というのはもう古い」と言い出した。「これからは主観など一切いれず、100%客観で描くべきだ」と。それで、まず適当な絵を描くんですね。それをいろいろな飲み屋のお姉さんに見せて、「どう思う?」と相談する、「暗くて嫌だ。もっとかわいく描いて」と言われたら、その通りに描くというのを延々やって、絵がどんどん変化していくんですよ。

権八:へー!

佐藤:当時、真心ブラザーズのPVに小沢がなぜかバイトで出た頃があって、真心さんにも相談して、また絵が変化して。だから、いろいろな人を伝って、その絵ができているわけ。まあある意味広告っぽいですよね(笑)。そういうのをやって、相談芸術大学を水戸の美術館で開いて。そこにはリングがあって、青コーナー・赤コーナーから芸術家が出てきて、二人で相談して絵を描くというくだらないことをしていた(笑)。「大丈夫か、こんなのでお客さん呼んで・・・」みたいなことを。

中村:檀上で「どうですか?」と聞いて、アドバイスを受けて、こんな感じですかね、と。いいですね、ちょっと自信がない人みたいですけどね(笑)。

佐藤:会田もそうですけど、もうその人の人となりがアートなので、もはや制作物のいい悪いじゃないんですよ。会田の家なんて家族ごと巻き込まれてアートになっている。息子と奥さんの岡田裕子もアーティストだから、3人が「会田家」というユニットになっているので。あの成り立ちがアートだとすると、近隣ではみんなでそれを保護しなければいけないという風潮になってまして。

中村:保護ですか。

佐藤:会田はこの間も瀬戸内国際芸術祭というイベントで瀬戸内海の男木島という島に行って、ずっとビデオを撮ってたんですね。縄文人が島に住んでいる設定になっていて、そいつらはなぜかタイムスリップをして男木島に現れて、やがて海に帰っていくまでの話を延々撮ってるんですけど。何十時間もあるし、手持ち撮影だから画面が揺れて見ていると気持ち悪い。

一同:

佐藤:俺はフェリーで行ったんですけど、向かってる最中に会田から「悪いけど教授の役をやってくれないか」と頼まれて、なぜか縄文人研究家になって、急にコメントしはじめるみたいな。そんなこんなを編集してまとめなければいけないんだけど、会田個人で40分にまとめるなんて無理。

権八:40分にまとめるの!?

佐藤:だって、普通にギャラリーで上映するのにお客さん何十時間も見てられないから。一応ストーリーにはなってるんですよ。それをやるのに仕方ないから知り合いのディレクターに声かけてもらってまとめたんだけど、ディレクターはずっと車酔い状態で気持ち悪くて吐きながら編集してた。

権八:かわいそう(笑)。

次ページ 「特例的にアートディレクターからプランナーに転向」へ続く

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