デジタルチャネルの拡大が お客さまとの関係を変えた
――マルケトでは「エンゲージメント・マーケティング」という概念を提唱しているが、これはどのような考え なのか。
私たちマルケトは情報過多の時代環境、また成熟した市場環境の中で、マス広告ではなく、エンゲージメント・マーケティングが必要とされていると提唱してきた。エンゲージメントとは顧客が特定のコンテンツや商品・サービスに対して好感を抱いたり、また周囲に推奨するなどの働きかけをしてくれる関係性のことを指す。
エンゲージメント・マーケティングにおいて重要なのが、一人ひとりのお客さまに適したコミュニケーションを行うことだ。これまで何十年もの間、マーケターは一人ひとりのお客さまに適した1対1でのコミュニケーションを実現することを夢に描いてきたと思う。
ワントゥワンのコミュニケーションの方がマス・マーケティングよりも効果が高いことは自明の理であるからだが、しかしながら企業の規模は拡大し、相対するお客さまの数も増え続ける中で日本でも米国でもマス・マーケティングが主流となってきた。
ところが消費者の日常にデジタルが浸透し、ソーシャルやモバイルを使うようになったことで、この環境は一変した。これらのメディアやツールを使うことで、お客さま一人ひとりとパーソナルな関係を構築できる土壌が整いつつあるのだ。
こうした環境が追い風となって、2015年はマーケティングが大きく進化を遂げる記念すべき年となった。広告領域におけるデジタルの活用とマーケティング・オートメーション(MA)のテクノロジーが融合し、デジタル広告でのワントゥワンのコミュニケーションが実現可能になったからである。
マーケターがMAから得られるインサイト
――マルケトが提供するMAツールの強みはどこにあるのか。
ガートナー社からCRMリードマネジメントの分野において4年連続で「リーダー」に選出されている実績が示す通り、競合に比べて多くの優位性を持っている。特に他のテクノロジー企業と異なり、マーケティングに特化している点は大きな強みと言える。
マーケティング領域に特化した製品開発をしてきたので、マーケターの仕事の課題を熟知し、日々の仕事での使いやすさを追求してきた。
もちろん初めて導入する時には、マーケターの方に学んでいただかなくてはいけないこともある。しかしながら他社のツールに比べて早く使いこなしてもらえるよう、製品開発を続けている。
マルケトはマーケターにとって、最も使いやすい製品であると自負しているが、最も使いやすい製品でありながら、BtoBやBtoCを問わず、どのツールよりも多くの機能を有しているところが市場から支持をされている理由の一つだ。
特にアナリティクス機能は、分析能力はもとより、見やすいユーザーインターフェースでどう予算配分をすれば、効果的なのかが一目でわかるつくりになっている。マーケターは多くのインサイトを得ることができるはずだ。
気持ちの変化を捉えた大きなストーリーを描く
――テクノロジーやデジタルチャネルの浸透によって、1対1で「つながれる」ようになっていることと、消費者から「つながりたい」と思ってもらえることの間には、大きな隔たりがある。この隔たりを埋めるため、マーケターにはどんな工夫が必要とされるのか。
デジタルの浸透により、対話が可能となる接点自体は拡充しているが、当然ながら、そこで何を語るか、つまりはコンテンツが最も重要と言える。お客さまの満足を高める1対1の対話を創出するために、欠かせないのがデータだ。
データを介して理解すべきは、それぞれのお客さま固有の嗜好性に加え、時間の経過によって変化する気持ちを捉えることである。
以前はマス広告がお客さまとの感情的な結びつきをつくるきっかけとして機能していたが、消費者の嗜好も行動も多様化している現在、すべての人に同じメッセージを同じタイミングで送るだけでは、真の意味でのエンゲージメントは築きづらい環境になっている。
これからの時代のマーケターがつくるべきコンテンツとは、これまでのマス広告のような単発的なアイデアに基づくものではなく、時間の経過とともに移りゆくお客さまの気持ちに寄り添うものだ。
お客さまの気持ちがどう変化していくのか、時間の経過を踏まえた大きなストーリーが必要で、その大きなストーリーを踏まえて、個々のコンテンツを制作すべきだ。
例えば万一、まったく同じ嗜好性を持った人がいたとしても、その人が置かれた状況によって、態度変容のプロセスのどこに位置するかは変わるし、当然そこで伝えるべきメッセージは変わる。
嗜好性に加えて、時間の経過を踏まえたパーソナライゼーションが必要で、それを支援するのがMAである。
――最近の米国におけるデジタルマーケティングのトレンドとは。
トレンドの一つとしてパーソナライゼーションがデジタル広告の領域にまで広がっていることが挙げられる。例えば、自社のWebサイトにアクセスがあったユーザーにFacebookのようなSNSで広告を見せることができるが、これまではマス・マーケティングでしかなかった。
しかし、今年に入ってデジタル広告とMAが融合することで、デジタル広告もお客さまの気持ちや嗜好に合わせてパーソナライズし、1対1でつながれる点が、エンゲージメント・マーケティングの可能性をさらに広げている。
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