【前回記事】「カオス化する消費者行動が「オムニチャネル」を生んだ<デジタル・シフトVol.3>」はこちら
日本企業の組織の課題と解決の道筋
ここまでのコラムで「データ(顧客データ)」「チャネル」の意味を今日的に再定義し、そのうえでテクノロジーを活用することで、魅力的なオムニチャネルエクスペリエンスを提供する道筋を解説してきました。
ポイントはテクノロジーについて議論する前に、データとチャネルに対する理解が必要だということです。前回コラムで、マーケティング・オートメーションツールについて触れましたが、あくまで目指す理想、やりたいことが明確になってこそ、テクノロジーを最大限、活用できるということも忘れてはならない視点です。
加えて、理想を実践するうえでは、社内の組織の在り方やチーム作りなどのマネジメントの要素も考える必要があります。
マーケティングとは顧客と接するあらゆる部門が関わる活動です。それゆえ、プロジェクトを進めていくうえで、よく直面するのが、広報や宣伝・販促などのマーケティング部門と、情報システム・IT部門のすれ違い。基本的に情報システム・IT部門はリスク志向。マーケティング部門が作った企画に対して、「セキュリティ観点から実現が難しい」という見解を示すことがあります。IT部門からすれば、システムが止まってしまった時の責任は自分たちがとらなければならないと考えるので、当然の対応でしょう。
一方で、マーケティング部門は、クリティカルに実現可能か否かの知識がなく、そもそも両者の共通言語がないので、なかなか一蓮托生でプロジェクトを進めていくという機運が生まれにくいのも事実です。さらに広報担当は、ブランドマネジメントやパブリックリレーションズに配慮し、営業は売上や顧客獲得に集中している…。など各部門がそれぞれのミッションを実現しようとする状況のなか、全体最適の視点で、社内の意思統一が図りにくいという課題は多くあります。