足立:トヨタのトリプルアシストのCMに出演されていますね。反響も大きいんじゃないですか。
小島:「え?あれって藤子なの?」と言われることも多くて、普段の私とは少しイメージが違うみたいです(笑)。でもCM自体、たくさんの方に見てもらえていて、すごく嬉しいです。撮影現場も和気あいあいとしていて、楽しかったです。
足立:芸能活動を始めて、どのくらい経ちますか。
小島:12歳で芸能界に入ったので、ちょうど10年になります。地元のTSUTAYAでスカウトされたのがきっかけですが、その頃は、まさかトヨタのCMに出られるようになるなんて、思ってもいませんでした。なので、いまはなんだか不思議な気がします。どちらかと言うと地味なほうですし、あまり人に声をかけられたりするタイプではなかったので。
足立:そうなんですか。
小島:普段は家にいることが大好きで、漫画やアニメ、映画などを見ています。オタクですね(笑)。それと、いま22歳なのですが、どうすれば大人になれるのかがよくわからないんです。まだ恋愛にもあまり興味がないですし、それよりは趣味だったり、遊んでいたりする方が面白くって。足立さんはいつ頃からそういったことに興味を持たれるようになりましたか。
足立:うーん、どうですかね(笑)。でも、恋愛はするものじゃなく、落ちるものですよね。
小島:あぁ、なるほど!キャッチコピーみたいですね(笑)。
足立:現在の活動のメインは、お芝居ですか。
小島:ここ数年は、お芝居が中心です。デビュー当時は『おはスタ』でおはガールをしていたのですが、そこから徐々にお芝居をやることが多くなり、昨年は舞台にも出演させていただきました。昨年出演したコメディの舞台は、とにかくお客さんを笑わせなければいけなかったのが、難しかったです。絶妙な間を置くことで笑いをとるはずが、その間を取り違えると、全然笑ってもらえないんです。
足立:それは難しい。勉強になったでしょう?
小島:相当、心が強くなったような気がします。逆に調子に乗ると、台本にはないアドリブを入れて、それはやりすぎだと怒られたり(笑)。
足立:でも自分をさらけ出すのは苦手とか?
小島:そうなんです。調子に乗ってしまうのはお芝居のときくらいで、普段は恥ずかしくなってしまうんですよ。私はあまり感情の起伏がないのですが、お芝居って、役そのものに感情があるので、「こういう感情もあるのか」と役から教えてもらうことが多いです。
足立:お話を聞いていると、すごく透明感のある方だなと感じます。役を通じてさまざまな感情を吸収できる透明感があるというか。周りからは、どのような人だと思われていますか。
小島:「あまり印象がないよね」と言われるんです。でもお芝居をする上では役そのものを印象づけられればいいと思っているので、「小島藤子」という存在の印象はいらないと思っています。だから、役の名前で呼ばれるのも好きですね。
足立:自分のカラーを出しすぎないんですね。それは広告での役を演じる上でも好まれますよね。
小島:なるべく目立たないようにはしています。でも監督とはよくディスカッションをしますし、ときには対立してしまうこともあります。監督と役者って、見ている目線が違うこともあるじゃないですか。だから、役者として思うことは主張しています。
足立:そういった監督とは、その後どのような関係になるのですか?
小島:最終的には仲良くなれます。以前、あるCMで不機嫌な女の子の役をやらせてもらったのですが、あまりに何度も同じようなシーンを撮影するので、私が本当に少し不機嫌になってしまって(笑)。でもそのCMが放映されると、すごく評判が良かったんです。
足立:見事に引き出されてしまったと。
小島:「やられた!」という感じでした(笑)。CMは尺が短いのに、ドラマより撮影時間が長かったりしますが、短いからこそ色々なパターンを撮るのが大事なんだなと学びました。広告は関わる人も多いので、今後もみんなが納得するものを一緒につくっていきたいです。
[対談を終えて]
小島さんが10代の時は、その透明感に驚いたことを思い出します。そんな彼女も22歳になり、少し大人びてきたような気がします。なるべく目立ちたくないという、女優・小島藤子は、でしゃばらない演技がとても上手です。女優としては少し珍しいですが、そんな彼女の演技は自然体で、オファーがひっきりなしです。主張しすぎない女優として、とても重宝されています。
小島藤子(こじま・ふじこ)
1993年東京都出身。2007年『おはスタ』のおはガールに抜擢され、2008年女優デビュー。独特の空気感で数々の映画、ドラマ、MVに出演。近年の出演作に『大河ドラマ花燃ゆ』(NHK)『死の臓器』(WOWOW)『永久就職試験』(NTV)。また今後の出演作として『HiGH&LOW』(NTV)、長野Webドラマ『あの頃のわたしへ(仮)』が控える。トヨタ自動車 トリプルアシスト『もしも私が朝篇/夜篇』、山崎製パン『中華まん』OA中。
足立茂樹
e-Spirit 代表
キャスティング会社e-Spiritの代表。博報堂出身。米国の大学でマーケティングを専攻し、米国スタイルのキャスティングを日本に取り入れ、オーディションシステムも体系化。現在では40名のスタッフで年間1300本を越えるキャスティングを行う。