「941::blog」の櫛井優介さんに突撃!「『行ってきたシリーズ』はどうやってつくっているんですか?」

【前回】「「ジモコロ」編集長の徳谷柿次郎さんに突撃!「はてブがたくさんつく秘訣ってなんですか?」」はこちら

月刊『広報会議』の砂流恵介さんによる連載「ウェブメディアで話題!キーパーソンに会いに行く」のスピンアウトシリーズ。企業のオウンドメディアが増えた今、発信力のある個人の書き手の皆さんを「ウェブメディア・アベンジャーズ」と密かに命名しました。第三弾は「LINE HR Blog」「941::blog」を運営する櫛井優介さんに直撃しました。

約200枚の写真を撮り、伝えたいイメージに合うよう編集する

——櫛井さんのブログ「941::blog」では、数々のオフィスを訪問している「行ってきた」シリーズが人気ですが、いつごろから始められたんですか?

「行ってきた」シリーズは2009年の4月から始めて、現在115記事くらいあります。2015年12月時点で累計約540万PVありました。ブログは2004年からやっているのですが、ブログ全体だと約1600万PVくらいです。

——PV数がすごい!多くの方に読んでもらうための工夫などありますか?

誰が読んでも分かりやすいように「くだけた表現でサラッと書く」ことを意識しています。「行ってきた」シリーズは、「ネット系の会社で働くってこういうことなんだよ」と実際のところを知ってもらいたいという想いでやっているんですね。というのも、2010年にNHN Japan(現 LINE)はLDH(ライブドア・ホールディングス)の全株式を取得しましたが、その前にライブドア事件とかがあって「インターネットの会社は虚業」みたいに言われてたことにすごく傷ついて。それを見返さないといけないと思っていたので。

だから、そもそも「オフィスが派手ですごい!」みたいなことではなくて、「インターネット業界で働くというのはまじめなことであって、地に足がついていていい環境なんだよ」っていうのを知ってほしいんです。そういう意味で、誰が読んでも分かりやすいことを意識しています。もちろん、まじめに書くこともできますが、まじめに書きすぎると読んでいて疲れるんですよね。

——「行ってきた」シリーズをはじめとして、櫛井さんのブログって写真をふんだんに使っているのに、1枚1枚のクオリティがとても高いですよね。

オフィス取材だと200枚ぐらい写真を撮って、80枚〜100枚ぐらい使っています。写真は伝えられることが多いので。意識しているのは文脈に合う見せ方をすること。例えば、撮影時は見せたいものにノイズ(余計なもの)が載らないようにしますし、すべての写真に画像編集ソフトで手を入れています。撮ったままでもいいんですけど、伝えたいイメージに合う画像にすることがすごく大事だと思っていて。

自社のオフィスが紹介されるとしたら明るい雰囲気で紹介されたいはずなので、基本的に明度を上げています。リフレッシュルームのような落ち着いた雰囲気の部屋は暗くするとか、文脈に合う見せ方を考えていますね。

あとは広く見せるところは広く見えるようにしたり。ごちゃごちゃして見える写真は、トリミングで切っちゃうと意外と広く見えたりして。ほかには、公共の場所やカフェとかだとお客さんがこっちを向いてない状況を狙って撮っています。パブリシティ権みたいなので守られてるとはいえ、やっぱり個人の顔が写り込むのは嫌じゃないですか。そういう配慮のない写真を撮るやつだっていうイメージもついてほしくないので。

——1枚1枚編集されていたんですね。ドワンゴさんのオフィス訪問の記事で受付の写真を撮られていますが、あの真っ白さが本当に「ハンパない!」と思っていて。僕も櫛井さんと似たようなオフィス訪問記事を書かせてもらっていてドワンゴさんのオフィスに行ったことがあるのですが、実際撮ってみると白ってめちゃくちゃ難しいんですよね。今のお話でこだわるポイントの謎がとけました。

あれは、シャドウとハイライトで色を上げているんです。普通に撮ると、ドワンゴっていうロゴが飛んじゃうんですよ、明るすぎて。だからアンダーで暗めに撮って、明るくしてっていう感じです。

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砂流 恵介
砂流 恵介

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。

砂流 恵介

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。

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