デジタルサイネージを活用した「新しいPR」
—なぜベクトルがデジタルサイネージを提供しているMADSと提携に至ったのか、その背景から教えてください。
杉浦:もともとベクトルでは、マイクロアドと一緒にニューステクノロジーという合弁会社を設立しています。私もその取締役として加わり、ベクトルで制作したPR動画をマイクロアドのアドネットワークを通じて配信していました。今回はさらにWebのみならず、サイネージにもその動画を流せるようにしたいと考えたのです。
穴原:デジタルサイネージは、簡単に言うと屋内・外にあるディスプレイ。そのため、クリエイティブの多くは静止画ではなく動画になります。今回、業務を一緒に取り組むベクトル子会社で杉浦さんが率いているビデオワイヤーは、ニュースリリースを動画にして配信する「ビデオリリース」というサービスを提供しています。「動画」という共通点から、かなり相性がいいのではないかと、2015年初頭から話を進めてきました。
—具体的には、どのような事業を展開されていくのですか?
杉浦:我々ビデオワイヤーが作った動画コンテンツを2つ方法でMADSのデジタルサイネージに流します。一つ目はMADSのデジタルサイネージ・ネットワークの広告枠に配信する形、もう1つは「外テレ」のコンテンツとして放送する形になります。
穴原:「外テレ」とは、ニュースや天気、エンタメなどいくつかのジャンルのコンテンツを、サイネージの設置場所のオーナーさんが自由に選んで配信できるサービスです。オーナーさんは、管理画面上で広告枠を設定するだけで、広告ビジネスを開始することができます。ビデオワイヤーで制作した、企業ニュースもここに流していくことで、コンテンツとして楽しんでもらえます。
—デジタルサイネージをPRに活用するメリットはどこにあるのでしょうか?
杉浦:訴求力の強い動画を、サイネージでターゲットにより届けられるようになります。特に、我々の「ビデオリリース」は、記者会見やリリースをもとに制作しているため、企業の伝えたいことがすべて入っています。最近では、高級時計のビデオリリースで、来店増加につながったという事例もあります。さらに、MADSのデジタルサイネージは、ターゲティングメディアとしての特性が強く、狙ったターゲットに情報が届けられる点もいいですね。
穴原:そうですね。私たちのデジタルサイネージは、ディスプレイごとのロケーションでターゲティングできることが大きな強みです。国勢調査のデータベースや、「どのような人が」「どのような目的で」「どこからどこへ」「どのような交通手段で」移動したのかといったパーソントリップ調査の情報を掛け合わせてターゲティングできます。仮説のペルソナだけでなく、こうしたファクトのデータを組み合わせることで、より精度を上げていきます。
例えば、平日の夜は帰宅途中に二子玉川の駅周辺でニュースを目にして、休日はゴルフ場でまた目にするといった使い方で、テレビで何度も同じCMを目にするのと同様の効果が期待できます。女性向けの商品であれば、美容室やネイルサロン、レディースクリニックに置かれたディスプレイに配信することもあります。羽田空港の女性用トイレにも置かれていたりするんですよ。
—例えば、さきほどのお話にもあった高級時計であれば、どのようなロケーションに配信すると良いですか?
穴原:ゴルフ場は、すごく良いのではないでしょうか。あとは、病院のスタッフルームに置いてあるディスプレイも親和性があります。医者などの医療従事者だけが見る場所になり、高級車や高級不動産などの広告を配信しているケースは多くあります。
杉浦:効果がかなり高そうですね。高級商材はブランドイメージがすごく大事なので、動画との相性がいいです。特に、デジタルサイネージは、潜在層に向けて認知と理解を促進できるメディア。欲しいというニーズが顕在化している層にアプローチできるWeb施策と組み合わせることで、効率的かつ効果的にフリークエンシーを高められると思います。
—生活者がある程度の時間、滞在する場所で、企業の伝えたいメッセージを届けられるというわけですね。デジタルサイネージというと、交通動線に近いイメージがありましたが、そうとは限らないのですね。
穴原:はい。交通機関やロードサイドにあるデジタルサイネージだと、一瞬しか見えないので静止画が多いのですが、私たちの場合はある程度の滞在時間が見込めて、視認性が担保できるインストアのロケーションがたくさんあるので、動画との相性が非常に良いんですよ。
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