New Balance×クリエイター その化学反応はいかに起きたか?

月刊「ブレーン」編集部が選んだ若手クリエイターが、企業の課題に対してグラフィックや映像を制作する連載企画「クリエイティブリレー」。2012年にスタートし、間もなく5年目を迎える。この企画のスタート時より、これまで2回参加しているニューバランスジャパンの臼井史彦氏に、当時の制作秘話を聞いた。

ニューバランスジャパン 臼井史彦 氏

クリエイターとブランドとの化学反応に期待

2012年当時、ニューバランスは、カジュアルなスニーカーブランドというイメージから一歩抜け出し、本格的なスポーツブランドとしてのポジションを日本でも確固たるものにすべく、コミュニケーション戦略を模索していた。

強いメッセージ性を志向する他のスポーツブランドとは一線を画し、フレンドリーでワクワクするようなイメージを志向するニューバランスは、2010年にできたブランドタグライン「EXCELLENTを起こそう。」を軸に展開。このタグライン「EXCELLENTを起こそう。」をテーマに、臼井氏は「見た人をワクワクさせるクリエイティブをクリエイターの方とつくっていこう」と考えたという。これから一旗あげようとしている若いクリエイターの自由な発想とのコラボレーションは、スポーツを自由なものと捉えるニューバランスの理念とも一致するという理由でクリエイティブリレーへの参加を決めた。

オリエンの際には、普段はあまり接することのないクリエイターに対し、対話の中でブランドの歴史や背景についての深い理解を促した。商品ごとの特徴も含め、「会社として話せるところまで、かなり深くブランドについて話をした」という。同時に、「ランニング=走る」ということに対してのアクティブなアイデアを求めていることも伝えた。

制作過程について聞くと、「様々なクリエイターの方とコラボして多彩なクリエイティブが次々に出来上がっていくのが楽しみ」だったという。普段、会うことのないクリエイターと撮影現場などで接していく中で、その視点から気付かされることも多く、強い個性との刺激的な出会いの場としても意義を感じながらの制作だった。

実際のクリエイティブに関しては、商品が写りこまないグラフィック作品であっても採用するという形で、自由なクリエイターの感性を発揮してもらうことを重視して進める形となった。

【山本ヒロキ/MARVIN】

山本ヒロキさんの制作時には、現場に直接行き、一緒にアイデア出しをすることもあったという。グレーのランニングシューズがテーマとなっているこの作品は、商品の「グレー」の色合いの特徴を捉え、様々なトーンの「グレー」を表現する形で制作されている。

【大原大次郎/OMOMMA】

大原大次郎さんの作品は、シューズの部品をばらばらに剥がして並べることで、「新しい」という文字を再構成している。ニューバランスの、「New」の部分を斬新な手法で表現した作品だ。

【福森正紀/Three&Co.】

福森正紀さんの作品は、裸足コンセプトという当時の新商品がテーマとなっていた。通常のシューズではあり得ない、「クッション無しで足を鍛えるシューズ」というコンセプチュアルな商品を特徴的なビジュアルで表現した作品となっている。

次ページ 「続いて2014年には「クリエイティブリレー映像編」に参加」へ続く

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