企画のコンセプトを聞くと「あれ?」と思うことが多い
片岡:はいねさんの仕事の中では、僕は表参道の文房具カフェと、横浜赤レンガ倉庫のフラワーカーペットが好き。文房具カフェって、要するに「文房具」+「カフェ」という昔からある組み合わせのバリエーションなんだけど、ゲーム喫茶、マンガ喫茶・・・色々あるけど、そんなに特別イメージが良いわけではない。だけど「文房具カフェ」になると空気がよい感じがする(笑)。その漠然としたイメージの良さをいかに作り上げていくことこそがブランディングだと思う。
同様に、横浜赤レンガ倉庫は広場に「花」があるのは当然だけど、それを「フラワーカーペット」というコンセプトで、デザイン方法や作品性、企画性をプラスしているのがいい。提案のタイミングでデザインを3方向出したと言ってけれど、最後に残ったのと、途中で落とされる作品との違いって何?
はいね:横浜赤レンガ倉庫のプレゼンにはポスタービジュアルを3方向で提案しました。決まった理由は「デザインの良さ」とかかっこよさ(もちろんそういうのもあるとは思いますが)というより、コンセプトの違いだと思います。
この方向性で、このテーマで、イベントを開催していきたい、だとしたらこのビジュアルがいいよね、という感じ。もちろんその中で「ここはもう少しこうしたい」とか「ここは色変えたい」とかそういうのはでてきますが全体として筋の通ったイベントにすることが大きな目的としてあるので、クライアントがいる以上、それが大きく揺るがなければある程度は許容してもいいと思っています。
片岡:「企画構想」や「ソーシャルデザイン」の授業を持っているのだけど、学生ってどうしても「アウトプット」にこだわるから、その部分は慣れもあってだんだんうまくなる。例えば、CM動画やポスター案の提案や、パワポでのプレゼンの方法とか、そういう「教えられること」は学べば上手くなるけど、肝心の「コンセプト」の部分で学生の提案を聞いていると「あれ?」と思うことがある。
はいね:木を見て森を見ず、ってやつですね(笑)。アウトプットの手法にばかりに気をとられているからその「目的」を見失ってしまって、コンセプトがぶれるんですよね。企画書も全体が見えてないのに頭のページから綺麗に作り込もうとしていたり。「このあとどうまとめるの?」と聞くと「まだわかりません」っていう。
片岡:(ブレない)コンセプトの立て方を伝えたいのだけど、そのハウツーは本当にコトバで説明するのが難しい。だけど分かる学生は一瞬で直感的にわかったりする。「学ぼう」とか思ってない学生の方が、直感的に「芸を盗んで」しまうというかね。