ここでは、『販促会議』2016年3月号に掲載された連載「販促NOW-アプリ編」の全文を転載します。
LINEのライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE」が好調なスタートを切った。開始当初、「月間1000万視聴者(ユニーク)を狙いたい」(舛田淳取締役)と語っていたが、開始1カ月で1100万人を突破。延べ視聴者数も4300万人を記録し、目標を上回るペースで、ユーザーに支持されている。
LINE LIVEはタレントやアーティスト、企業の公式アカウントを通じて、LINEのプッシュ通知で番組開始を告知。移動中などでもライブの動画番組を見逃さずに見られるのが特徴だ。トークバラエティや音楽のライブ中継、テレビ番組の舞台裏潜入など、クオリティの高い番組が受けている。これらの動画配信サービスはユーザーが自由に配信するものが多かったが、LINE LIVEはテレビ番組と同等の品質からスタートし、将来的にユーザーへ開放する方針だ。
KDDIでは、LINE LIVEをいち早く新製品・新サービスの記者発表会の映像配信プラットフォームに採用した。同社では、年間で最も契約を稼げる春商戦を目前にして、学生をターゲットにしたキャンペーンを実施するうえで、発表会の中継を従来のニコ生やUstream、YouTubeに加えて、新たにLINE LIVEを採用したのだ。学生に直接伝えるには、学生に最も普及しているLINEを経由したほうがいいからだ。記者発表会は昼の12時から開始した。学生が昼休みに、暇つぶしとして見やすい時間としたのだ。
冒頭から「学生たちにデータ増量キャンペーンを行う」とアピール。12時半までに、キャンペーンの内容を紹介するだけでなく、好感度が高い三太郎CMキャラクターを演じるタレントを出演させ、注目を集めた。結果、180万人を超える視聴者数を集めるのに成功したのだった。
昨年末に主婦層をターゲットにした「ハンドソープで洗えるスマホ」の発表会も実施しているが、午前中に記者発表会を開催し、テレビ局の取材班が撮影し、夕方のニュースに放送できるようにしていた。学生にはLINE LIVE、主婦向けには従来のテレビを重視して、発表会の開始時間も調整していたのだ。
LINE LIVEは公式アカウントで告知ができるため、スタンプで集約し、ユーザーとつながりつつ、新製品を告知したい時は、LINE LIVEで映像を配信するという使い方ができる。ニコ生やUstreamでも映像を配信できるが、「いまから開始する」というのを、ユーザーに直接、気がついてもらう手段が少ないのが弱点であった。LINE LIVEはLINEという最強の「通知」が強みとなっている。今後、KDDIのような活用方法が、さまざまな企業でも広がっていきそうだ。
石川 温氏(いしかわ・つつむ)
ケータイ・スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
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