好きな人の苗字を自分の名前につけて、変じゃないか確認する(ゲスト:カネコアヤノさん)【後編】

井上陽水さんの歌詞に通じる何かがある

カネコ:日々この言葉いいなと思ったらすぐメモします、ちゃんと。でも、本当にそれだけなんですよ。それをくっつけてるというか、1つの言葉のまわりに鎧というか、付けてあげるだけというか。私は詞を書くときに使いたい言葉が1つあって、それを使いたいがために詞を書く。この曲だと、「私だけをみてればいいのに 世界がひろすぎて 退屈な月曜日」というのが最初にできて、これは使いたいなと思って。これを使いたいからそのまわりにも言葉を付けてあげただけというか。本当にただそれだけで書いてる。

権八:それ、つまり天才じゃないですか。

澤本:いいよね。

カネコ:さっきも言ったけど、恥ずかしいぐらい小説を読まないから、難しい言葉も正直知らないし、簡単な言葉だけでしか書けない。というか書けてない。

権八:いや、でも簡単な言葉なのかもしれないけど、その言葉と言葉を組み合わせて描かれる感情だったり、感覚みたいなものに急に持ってかれるというか、「その感じわかるー」と。「それ忘れてたけど、やめてくれ、そこえぐらないでくれ」という場所であったり(笑)。無意識にやられていると思うけど、決して難しい語彙じゃないかもしれないけど、そこで描かれる、漂う情感だったり、風景、切なさみたいなものがなかなかこれ、久々に・・・。

澤本:本当に僕ビックリしたもん。「週明け」の歌っていいなと思ってると、「とりあえず何か食お」って(笑)。これ、いいなと思って。

権八:そうですよね。情感で、気持ちで表現してると思うと急に現実にポンって戻って来たり。その距離感が気持ちいいんですよ。行ったり来たりする感じが。「銀河に乗って」もそうだよね。ミクロとマクロを行ったり来たりする。

カネコ:確かに。本当にそれ今日言われるまで気づかなかったです。

権八:うそー?

カネコ:本当に。ミクロとマクロ、でかい小さいみたいのって、今というか、言われて気がつきました。

権八:マジか。天才だって言いたいの?(笑)

カネコ:いやいや、違います(笑)。

中村:私は天才だと(笑)。

澤本:天才と思ってもいいんじゃないかな。しばらく。

中村:だって、詞を書いてるアヤノちゃんを想像すると、壊すのが怖いから綺麗な景色を信じて暮らしている、きっとこれからも・・・うーん、とりあえず何か食べよう。

カネコ:あははは(笑)。

中村:そこノーロジックで来てるでしょ? こんな感じかなみたいな。

カネコ:はい。

澤本:聞いてる人も共感するんだよね。「何か食お」っていう流れが意外と自然だと。

権八:わかります。だから、なんだかんだ言って、生きてるって、そういうことじゃないですか。昔の陽水さんの「傘がない」じゃないけど、やばいニュースがいろいろ起きてるけど、とりあえず今日の傘がないみたいな(笑)。急に現実に戻るみたいなことが。

澤本:そういう点では陽水さんの詞に通じるものがあるのかもね。距離感がバーッと飛んで、また戻ってきていつの間にかみたいなね。

権八:そのスケール感をこんな小さい体でね(笑)。偉い。

澤本:そんなに小さくないよ(笑)。

カネコ:普通(笑)。

権八:俺から見ると顔も体も4分の1ぐらい。もっと? 5分の1ぐらい? でかいんですよ、無駄に私。本当にすみません(笑)。

次ページ 「22歳で自転車デビューしたら・・・人を轢いた?」へ続く

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