電通は12日、ネット広告を出す企業や配信先Webサイトを限定した動画広告配信に本格的に乗り出すと発表した。グーグルと取り組んできたプライベート・マーケット・プレイス(PMP)に、仏動画広告配信ティーズの技術を加え、強化する。
電通のPMPに参画するメディア企業数は約230社。広告主は、広告を見せたいターゲットに応じてWebサイトを選び、広告枠に値付けをして取引する。PMPには、悪質な内容のWebサイトに広告を出してブランド価値を損ねたり、見られていないのに広告費を払うといった、いわゆる「ムダ打ち」を避けられるメリットがある。
広告枠は、Webサイト上部や、記事文中枠(インリード)など5タイプに対応する。電通グループのネット広告会社、サイバー・コミュニケーションズ(cci)も、仏ティーズと提携した。
電通、cciと組んだ動画配信サービスのティーズとは
ティーズは2011年設立で、翌12年からWebサイト記事文中に向けた動画配信を始めた。2014年12月期の収益は9560万ドル。2015年1月に3000万ドルの追加出資を得て、翌2月には東京オフィスを開設した。現在は世界に26の拠点を持ち、400人の従業員を抱える。
ティーズが配信する動画広告の視聴者数は2015年10月現在、2億6300万人に上る。米コムスコア調べでは米フェイスブックが一昨年に買収した動画広告配信の「LiveRail」に次ぐ数で、同社の視聴者数は2億7800万人だった。
日本で主力の広告主企業は、日本マイクロソフト、ニューバランスジャパン、カルティエなど。昨年末時点で30社だった。
日本市場参入初期からの配信先には、日本経済新聞社の「日経電子版」がある。日経は、グローバル企業が日本や中国などアジア市場向けにキャンペーンを打つときのメディアパートナーでもある。ほかに動画配信先として参画するのは、朝日新聞社や読売新聞社、産経新聞社。また、東洋経済新報社やハースト婦人画報社といった雑誌社、オールアバウト、インフォシーク(楽天)、goo(NTTレゾナント)などオンラインメディアらも名を連ねる。
日本オフィスのマネージングディレクター(代表者)は田中洋一氏が務める。昨年末時点で従業員は10人ほどだったが、今年中に少なくとも倍に増員する計画だという。
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