アシックスは12日、ランニングなどの運動を記録するスマートフォンアプリ「Runkeeper(ランキーパー)」運営の米フィットネス・キーパーを買収し、完全子会社化すると発表した。アプリの登録会員数は3300万人に上る。
海外売上比率の高いアシックスは、既存のランニング記録アプリ「MY ASICS」に加え、フィットネス愛好者の世界的な会員組織を獲得した格好となる。同社の2015年1~12月期売上高の海外比率は76.4%で3272億7000万円。為替の影響を除いて前年同期比10.2%増だった。
スポーツブランドもユーザーデータ分析急ぐ
運動を記録できる会員サービスでは、ナイキが2006年に開始した「Nike+(ナイキプラス)」で先行している。同社を追いかけるのはアシックスだけではない。
アディダスは2015年8月、健康フィットネス関連アプリ開発のランタスティック(オーストリア)の株式50.1%を220万ユーロで獲得した。ランタスティックの登録会員数は7000万人で、日本語をはじめ18カ国語でアプリを展開している。アディダスはこのユーザー基盤を製品開発にも生かす狙いがある。
スポーツ衣料ブランドの米アンダーアーマーは2013年12月、運動記録アプリ「MapMyFitness」を傘下に加えた。この買収で消費者インサイトを深め、検証する力を得た同社は2015年、運動記録アプリ「Endomondo」を8500万ドルで、カロリー計算アプリ「MyFitnessPal」を4億7500万ドルで、それぞれ買収。合計で1億2000万人のユーザーを抱えることになった。
アンダーアーマーのケビン・プランク会長兼CEOは買収に際し、「ユーザー同士がどのように交流し、何を買うか–健康的な生活を送るために取る行動を把握することは、より製品開発の精度を高め、購入を促す主要な情報源になるだろう」と述べた。
インターネット上では、Webサイトのアクセス履歴やサイト上の行動データを活用することがほぼ常識となりつつある。今後は「フィットネス記録」を通じ、会員組織を築きながら行動記録を集めてマーケティングに生かす動きも盛んになりそうだ。
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