日本人らしいマーケティングの形
日本では「モノづくり」の重要性が説かれることは多くありますが、意外に足りていないのが、ではその「モノづくり」の技術によって生み出された製品は、顧客の問題解決につながるのか?という視点でしょう。
前回のコラムでも書きましたが、本来の「デジタルマーケティング」とは「デジタル技術」マーケティングのことではなく、スマホやソーシャルメディアの普及により「顧客がデジタル化した時代」のマーケティングと考えるべき言葉です。ただ、そもそも企業の中に「顧客の問題解決をする」というマーケティング視点が無ければ、アナログからデジタルの移行どころか、マーケティング自体ができていないデジタルマーケティング以前の問題という話になります。
ただ、日本人がマーケティングに向いていないかというと、そんなことはありません。ユニクロの柳井正社長やソフトバンクの孫正義社長など、一代で大企業を創り上げた方々には明らかに非凡なマーケティングのセンスを持っている方が多数います。ネスレ日本の高岡さんも、本社が一目置くほどの成功を日本で収めたマーケッターと言えるでしょうし、USJの森岡さんは破綻寸前のUSJをマーケティングの力でV字回復させた人として有名です。
ワールド・マーケティング・サミットでは、冒頭に小泉進次郎議員が、ラグビー日本代表の活躍を例にマーケティングにおいても「ジャパンウェイ」を意識するのが重要ではないかと語っていましたが、間違いなくそういった日本人らしいマーケティングの形があるはずです。
当日のディスカッションでは、同じ写真フィルムメーカーでも米国企業のコダックはフィルムからデジタルへのシフトに乗り遅れて破綻したのに対し、富士フイルムは見事にイノベーションに成功したことが、日本企業のポテンシャルの実例だとして紹介されていました。現在社内の不祥事や経営者の戦略の失敗によりトラブルに陥っている東芝やシャープのような企業ですら、マーケティングの力で輝きを取り戻すことも可能なはず。
今の組織構造に問題意識を感じている読者の皆さんには、是非マーケティングの力を信じ、今の問題意識を忘れずにチャレンジを続けてもらいたいですし、出世をされても「顧客の問題解決」というマーケティングの精神を忘れないでいただきたいと心から思います。最後に、この逸話を思い出すきっかけにもなった、ワールドマーケティングサミットのウェルカムパーティーをまとめた動画とワールドマーケティングサミットのダイジェスト動画をご紹介しておきましょう。