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読者のルーティンのひとつになれるかどうか
—鳥井さんが運営されているメディアやブログについて教えていただけますか。
2014年の9月にWaseiという会社を設立して、「灯台もと暮らし」というウェブメディアを運営しています。これからの暮らしを考えるメディアで、地方創生の流れで注目されている地域などを月に15本〜20本くらいの記事で紹介しています。最近だと島根県海士町にあるUターンの方がつくった宿の記事がヒットしました。
その傍ら、社員に自分の考えを知ってもらえたらいいなと思って「隠居系男子」というブログも平日は毎日書いています。一般向けの内容ではないですが、会社の今後の方向性や僕が興味関心のあるものを知ってもらうことでお仕事につながることもあるので、誰でも読めるオープンなブログ形式を採用しています。
—オウンドメディアや広報ブログは更新頻度やアクセス数でつまずいているところも多いです。ブログを継続する上で鳥井さんなりの工夫があれば教えてください。
僕は「どうも鳥井(@hirofumi21)です。」という書き出しや、見出しの付け方、「それでは今日はこの辺で。ではではー!」という終わり方など、ブログ記事の型を決めています。まっさらなところから書くのと型があるのでは、書きやすさがまったく異なるんです。他のメディアに寄稿をさせてもらうときも、ブログのように書き始めて、最後にブログの型を削ったりすることもあるくらいですね。
あと、読まれていくためには「毎日続けること」と「自分たちが読みたい記事をつくること」が大事です。バズるよりもなによりも、まずは毎日続けることだと思っています。
毎日続けようと思うと、自分の興味や関心があることじゃないと書けないじゃないですか。他人のためにやっていると、どこかで辛くなるというか。なので、続けていくためには自分のために書ける内容、自分が楽しんで書ける内容でなきゃいけないと思っています。
それに加えて、「毎日同じ時間に更新する」ことも大切にしています。僕は午前中には必ず記事を上げておいて、11時43分にツイートすると決めています。お昼休みに合わせているのですが、「お昼休みにご飯を食べながらブログを読むのが日課です」と言ってくれる方もいらっしゃって。読者のルーティンのひとつになってしまえば自然と毎日読んでくれますし、その生活リズムに入り込めるかどうかが大切なのだと思います。
─読者の生活リズムになるために、毎日同じ時間に更新する。企業がSNSでコミュニケーションを取るのにすごく大事なことかもしれませんね。広く読まれる工夫などもあるのでしょうか。
僕はあまり意識していませんが、世間一般的に広く読まれるものは3つの傾向があると感じています。
1つ目が、「家族ネタ、おもに親子ネタ」。皆が共感しやすいというか、誰が読んでも絶対自分のなかの何かに引っかかるんです。2つ目は、「オモコロ」さんとかがやっているような「おもしろネタ」。SNSでシェアされていると思わず読んじゃいますよね。
3つ目が、「ストイック系のネタ」です。ストイックなものは人の心を打つといいますか。1つのことに前のめりになっていたり、突っ込んでその道を究めたりしている人の想いは、シェアされやすいのだと思います。この3つに加えてやはり「知っている人が書いたもの」は強いですね。
ただ、企業がオウンドメディアで情報発信する場合は、広く読まれる、バズることが必ずしもいいとは限らないと思います。バズってSNSで煽られることで逆効果ということもあるでしょうし。
多くの人には刺さらないけど、特定の人にはグサッと刺さるような記事もありますよね。そういう内容の記事をいくつ出していけるのか、そういうことを意識することも大事だと思うんです。
文章表現の正しさとか、ちゃんと更新しているという誠実さみたいなところって、絶対に読者には届いているはずなんで。そういうところも見られていることに気付いて日々の更新をしていった方がいいと思います。