アンバサダープログラムとは何か?検討する際に必ず議論のループが起きてしまう訳

アンバサダープログラム導入時の「議論のループ」

マスマーケティングにおいては、短期的なKPIを「認知」とした場合、認知の「量」自体は、ある程度広告枠に投資するお金と連動して達成することを予測できます。100万円分のお金を払えば100万円分の認知を少なくとも、ある程度確実に買うことができるわけです。

一方でアンバサダープログラム的なアプローチにおいては、投資金額は必ずしも認知や売上に連動しません。

ファンやアンバサダーとのコミュニケーションに手間やお金を投資しても、必ずしもクチコミやシェアにつながるわけではありません。もちろん、逆に想定以上の話題になることもありえるわけですが、少なくとも投資金額に基づいた認知の獲得予測ができないわけで、アンバサダープログラム実施前に必ず物議を醸すことになります。

つまり通常の広告の場合であれば

■広告を軸にしたプランを立てる
 ↓
■認知獲得予測を広告枠のリーチ量をもとに立てる
 ↓
■投資金額と認知獲得予測量をもとに投資対効果を推測できる
 ↓
■決裁者も決裁がしやすい

となるところアンバサダープログラム的なアプローチでは、

■アンバサダープログラムを軸にしたプランを立てる
 ↓
■認知獲得予測が立てられない
 ↓
■投資金額に対する投資対効果を推測しにくい
 ↓
■決裁者も決裁しにくい(振り出しに戻る)

という議論のループに陥りやすいわけです。ここで、誤解を恐れずに結論だけ言ってしまうと、単純な認知獲得のためにアンバサダープログラムを導入しようとする時点でそもそも間違っているということです。

ツイッターアカウントやFacebookページなどのソーシャルメディアアカウントがブームになった時にも同じ議論のループがありましたが、そもそも大量の新規顧客の認知を獲得することだけが目的なのであれば広告が最適な手段です。

その広告と同じ役割を、無料のツイッターアカウントやFacebookページに期待するのは間違っていますし、アンバサダープログラムも同様と言えます。

参考:やっぱり「広告脳」と「PR脳」は構造が違うので、別部署にする方が現実的?

広告脳とPR脳の混乱については以前もコラムに書きましたが、次回は、もう少しこの点について深掘りしてみたいと思います。

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徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)
徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

徳力基彦(アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO ブロガー)

徳力基彦(とくりき・もとひこ)NTT等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。

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