ペイドメディアしか事前に認知量が分からない
三つのメディアのポイントを簡単にまとめると下記の図のようになります。
特徴をざっくりまとめると、オウンドメディアは自社でコントロールできストックにもなるが、獲得できる認知量は不明。ペイドメディアは、コントロール可能な上、お金さえ払えば確実に認知を獲得できるが、ストック効果はあまり無い。アーンドメディアは、コントロール不能な上、獲得できる認知量も不明だが、発信者が企業以外の第三者でありストック効果もあるという存在です。
冒頭の話に戻ると、ここでポイントになるのが、コントロール可能で、獲得できる認知量が施策実施前に想定できるのがペイドメディアしかないという点です。
要は、単純に大量の認知獲得をしたいのであれば、そもそも、そのための手段として最適化されたメニューである「広告枠」が一番無難な投資なのであり、それと同等の役割をオウンドメディアやアーンドメディアに期待すると、当然リスクが大きいように見えるという話になります。
クチコミマーケティングバブルにしても、ソーシャルメディアバブルにしても、本来広告枠とは異なる存在であるはずのアーンドメディアに、ペイドメディアの代わりとしての「安い認知獲得」の役割を期待したために、「提案されるままにやってみたけど上手くいかなかった」という失敗事例が山ほどできることになりました。
最近注目されているコンテンツマーケティングにしても、最初の目的やオウンドメディアの役割を間違って定義してしまうと、同じ結果を生むことになりますから注意してください。
もちろん、以前ご紹介したNECのWisdomやプロアクティブのニキペディアのように、オウンドメディアで獲得できる認知量や売上貢献量がペイドメディアの効率を超えることはあります。
・参考:メディアのバナー広告を買うのと、自分たちでメディアを作るのはどちらが安いか?(上・B2B編)
・参考:メディアのバナー広告を買うのと、自分達でメディアを作るのはどちらが安いか?(下・B2C編)
ただ、これらの事例はあくまで、長年の試行錯誤によるストック効果が出たことで達成できている「結果」であるという点に注意が必要です。
「広告」と全く同じ短期の認知獲得効果を、広告とは別の存在であるはずのクチコミやオウンドメディアにそのまま期待するのは、明らかに間違い。その前提を抑えた上で、次回はアンバサダープログラム的なユーザーコミュニケーション活動の可能性について考えてみたいと思います。