タイのパタヤで行われたヤングロータスワークショップの速報その2です。
「ムエタイを2028年のオリンピック正式種目にする」というブリーフを受けてから24時間後の3月16日、14カ国の代表チームがプレゼンテーションを行い、4つのチームがショートリストに選ばれました。
通常こういう場では、ソーシャルグッドな課題が出されることが多いです。僕らが作った「ローカルカルチャーをグローバル化する」という課題の難しさから考えると、半分くらいのチームはアイデアにさえたどりつけないだろうと予想していました。しかし驚くことに、全チームとも様々な視点から突き抜けたアイデアを出してきた。さすがその国を勝ち抜いてきた代表だと思いました。
ショートリストに選ばれた各国のチームのアイデアを紹介するので、ぜひ見ていただければと思います。
上海チームのアイデアは「東京五輪をムエタイでハックする」
オリンピックを変えるなら、オリンピックを利用しなくちゃ、という着眼点。もしも、2020年の東京オリンピックに出場したタイの選手たちが、ムエタイのユニフォームで、競技中にムエタイの踊りを踊ったら?という奇想天外なアイデアです。
サッカー選手はフリーキックの前や試合前に、飛び込み選手は飛び込む前に、ムエタイ音楽とともに「ワイクー」という選手が戦う前に祈りを捧げるダンスを踊ることで、東京オリンピックをムエタイでハックしてしまおうというものです。
「空港のWi-Fi」に目をつけたジャカルタチーム
タイには年間約3千万人の観光客が来る。そして彼らが空港について最初にやることはWi-FiにつないでSNSに投稿すること。このファクトに目をつけて、彼らをムエタイのアンバサダーにしてしまおうという企画です。
到着口を出た観光客が空港内に設置されたサンドバッグにパンチやキックすると、その強さに応じた時間だけ無料ワイファイが提供されるMuay-Fi(ムエファイ)というサービスを考案しました。
ムエタイを「脱タイ化」する!?シンガポールチームのアイデア
ローカルカルチャーをグローバル化するための最大の障壁はいつも言語だ。しかしムエタイは選手の名前から技の名前まで全てがタイ語ばかり。これを取り除いて、ムエタイを「脱タイ化」(UN Thai)させようという作戦。それが「UN-THAI MUAY THAI」(アンタイムエタイ)プロジェクト。
ムエタイの試合をクリスティアーノ・ロナウドなど様々な有名人が英語でわかりやすく解説することで、ムエタイをグローバルスポーツにしていくというアイデアです。
最後は香港チームのアイデア「いっそ国名を改名せよ!?」
国を挙げて取り組むためには、国の名前を変えるくらいのことをしなくっちゃ。ある日、「タイランド(Thailand)」は、国名を「ムエタイランド(MuayThailand)」に変えてしまう。
ムエタイで地球温暖化に取り組んだり、デジタルパスポートを発行して、それを手に入れるためにムエタイのオリンピック正式種目化の署名を集めたり、オキュラスリフトを使ったVRムエタイ選手権を開催したりするアイデアです。
ちなみに、惜しくもショートリストに漏れた日本チームのアイデアも紹介しましょう。
ネット上でバズっている「Funny Sleeping Cat」という、眠っている猫の写真を組み合わせてムエタイの技を楽しく広めようというアイデアです。
「日本チームは本当に惜しかった。最後までショートリスト候補として検討されていました。しかしアイデアのスケールとムエタイへの落とし込みという2つの点で他の4つのチームの案が勝っていた」と審査員の長谷部守彦さん。
さて、みなさんはどのアイデアが優勝したと思いますか?
その結果は第3回の記事に続きます。
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