勘と経験と度胸による広告クリエイティブのチェックは、良いのか悪いのか

カスタマージャーニーをどう「整理」するか

画像提供:shutterstock

それぞれの項目について補足します。まずターゲットですが、これはその商品やそのキャンペーンのターゲットということではなく、「その制作物のターゲット」です。つまり、その商品のターゲットがコンバージョンファネル上のどこにいるか、ということですが、私は主に以下の分類を使っています。

  1. (その商品の)全ターゲット
  2. 興味をもったターゲット
  3. コンシダラー(その商品が検討リスト入りしている)
  4. アクティブコンシダラー(その商品がショートリスト入りしている)
  5. 要ファイナルプッシュ(その商品の購入をほぼ決めている)

JTBD(果たすべきジョブを明確にする)とCTA(喚起すべき行動)、KGI(重要目標達成指標)の違いは、「具体性」であり、KGIに近づくにつれ具体性が高まっていきます。

例えば、あるバナーのターゲットが上記1.その商品の全ターゲットだったとした場合、JTBD(果たすべきジョブ)は「興味をもってもらうこと」あるいは「興味をもってもらい、検討リストに入れてもらうこと」になり得ます。

もちろんこの二つに限られるわけではありません。JBTDが上記の後者の「興味をもってもらい、検討リストに入れてもらうこと」だった場合、CTA(喚起すべき行動)は例えばビュースルーサーチ(その後の商品名検索)になり得ます。そのようにCTAを設定するとバナーのクリエイティブはだいぶ方向性が絞られてきます。例えばこの場合なら、商品名を強調する必要がありそうです。

KGI(重要目標達成指標)は、そのビュースルーサーチの具体的な目標件数を設定したものです。これを設定するコツは、まず空欄にしておき、すべてのフリップボードが完成したら最終的なゴールから逆算していくことです。

さて、手短ではありますが、以上が「コンテクストフリップボード」の概要です。

当たり前のことを可視化しただけなので、一つひとつのフリップボードはとてもシンプル、というか英語で言うとマンデイン(退屈、ありきたり)ですが、すべての制作物に関してこれを頭の中だけで整理するには複雑すぎるため、この手のフレームワークに書き出してみる必要性があります。

前々回にカスタマージャーニーはもう終わった、という趣旨のコラムを書きましたが、読んでいただいた方からは、これこそカスタマージャーニーじゃないか、というツッコミが入りそうです。実際その通りで、ブランドを創るにはカスタマージャーニーをベースにしたメディアの役割分担を整理するだけでは不十分ながら、現時点においての最適解としてメディアを使ったコミュニケーションをするのであれば、それを最適化するためにカスタマージャーニーの整理は不可欠です。

カスタマージャーニーのコラムでご紹介した「カスタマーエクスペリエンスダイアリー(CxD)」というフレームワーク同様、こちらも皆さまからのフィードバックを注入し、パワーアップしていきたいコンセプトなので、ご意見や勉強会のご要望などお待ちしています。

アドタイデイズ2016に登壇させていただく予定なので、会場でお声がけいただけると幸いです!

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井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)
井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
ヤフー 、ニュージーランド航空、ユニリーバでデジタルマーケティングの責任者を歴任し現職。advertimesコラムニスト。
ツイッター:@pianonoki
著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
ヤフー 、ニュージーランド航空、ユニリーバでデジタルマーケティングの責任者を歴任し現職。advertimesコラムニスト。
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著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

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