競技用車いすのトップブランドの着眼点

高性能の競技用車いすで企業ブランド価値を上げる

オーエックスエンジニアリングは、競技用車いすと日常用車いすの両方を製造・販売している。競技用と日常用の車いすの売上比率は、1対9で日常用の方が圧倒的に多い。しかも、日常用も競技用も価格は30万円前後でそれほど変わらないが、競技用は一人ひとりの選手に合わせた調整が必要になることもあるため、その分コストがかかり利益は少ない。

それにもかかわらず競技用車いすの製造・販売に力を入れているのは、パラリンピックなどで活躍するアスリートに車いすを提供することによって、企業や商品のブランド価値が高まるからだ。そうすることで、日常用車いすの購入を検討している顧客は、オーエックスエンジニアリングという企業や同社の商品に信頼感を寄せ、購入に結びつくことにもなる。

石井氏は「当社の製品は他社に比べて10万円ほど高いが、それができているのも競技用車いすによるブランディングによるところが大きい」と話す。

競技会で活躍するアスリート
オーエックスエンジニアリングはテニス、陸上、バスケットボールの競技用車いすに注力。パラリンピックや全国レベルの競技大会で、多くのアスリートが同社の車いすを使い、好成績を収めている。

年間30~40回の競技大会へメカニック班を派遣

車いすのメンテナンスチームを競技大会に派遣
競技大会の会場に車いすのメンテナンスチームを、年間30~40回派遣。こうした徹底したアフターサービスがオーエックスエンジニアリングの強みだ。アスリートとのコミュニケーションを通して得られたさまざまな情報は、製品の改良や開発にフィードバックされている。

オーエックスエンジニアリングは、国内で開催されているテニスや陸上などの競技大会の会場に、自社のメカニックチームを派遣している。目的は、選手が使っている自社の車いすのメンテナンスだが、それ以外にも多くのメリットがあるという。

まず、選手と直接話ができるため、車いすの性能や競技への影響などについて、率直な意見が聞けること。また、競技大会には他社の車いすを使っている選手も出場しているため、競技用車いすの最新動向をつかむには最適な場だ。こうした情報収集によって、次に開発する車いすの方向性のヒントを得ることも多い。

もちろん、メカニック班が会場にいることで、まだ同社の車いすを使っていない選手や競技関係者に対する認知度の向上などのPR効果も上げている。

次ページ 「子ども向け車いすを開発競技人口を増やす」へ続く

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