なかなか理解されない、B2Bマーケティングの実態
こんにちは。日本マイクロソフトの友廣です。このコラムでは“真の”B2Bマーケティングについてお話していきたいと思います。現在、僕は中堅中小規模以上のエンタープライズ顧客に対してキャンペーンを設計、実施するチームを率いています。IT業界の複数社で経験した企業顧客向けのマーケティングの実態を少しでも共有できる場にしたいと考えています。
そもそも、B2Bマーケティングの定義って何でしょうか。
僕がB2Bマーケティングに関わるようになって、10年以上。しかし自分たちの仕事は、なかなか理解がされていないな…と感じています。知識を身に着けようと、セミナーなどに参加する機会を見つけて聴講してもハイレベルすぎる“正論”ばかり。B2Bに特化した書籍もなかなか見つけづらいと感じています。
B2Bマーケティングを簡単に区分けすると、個人の消費者ではなく法人(企業)を対象としたマーケティング、ということになるでしょう。若干、深堀すると企業内の“個人”を特定し、その方々に対して新規購入を促したり、リレーションを築いて追加購入を迫る活動ということになります。
さらに、細かくその活動を見ていきましょう。
例えば、僕がいま社内で求められる役割とは、大きく二つに分けられます。
- DemandGeneration:Lead(見込み顧客)の発掘
- Engagement:優良顧客の囲い込み
まず1.に関わる、一般的な活動をあげていくと、こんな感じです。
- 広告を打つ
- DMを送付する
- セミナーを実施する
- オンラインプロモーションを実施する
- テレコール(Outbound)をかける
総じてマーケティング予算が縮小傾向にある折、上にあげたようなOneShotの活動が許されるわけもありません。科学的なアプローチで投資最適化を図り、活動を組み合わせたファネルマーケティングが求められます。購買をゴールにしたとき、顧客がどのステージにいるのか。そのステージごとに、各マーケティングビークル(広告、イベント、テレなど各種媒体のこと)を適切に配置することで、漏斗(ファネル)の下へと追い込み、見込み精度を上げていきます。
いずれの手法をとるにせよ、創出した案件をセールスサイドに渡す、という行為がここには発生します。マーケティング部門は顧客に直接訪問、販売するわけではありません。いかにセールスサイドが欲しがる高角度の見込み顧客を創出するかがキーになります。
次に2.の活動をあげてみましょう。
- ユーザー会を実施する
- エグゼクティブ向けのRound Tableを実施する
- コミュニティを運営する
他社製品に浮気しないよう、優良顧客をそれなりに特別扱いする活動であったり、少ない労力でクロスセル/アップセルを促す場所づくりであったり、顧客どうしで横の連携を強めてもらい自己解決してもらうプログラムを実施したりします。
ユーザー会やコミュニティ運営といった活動は、B2Cのマーケティングでも行われています。しかしB2Cの場合と異なるのは、「相手の顔が見える」点です。企業のCxO(エグゼクティブ)のような特定のキーパーソンとどうEngageするか、がB2Bでは重要になってきます。トップダウンで製品購入が決議される場合があるからです。