“商流”が違えば、マーケティングは変わる
近年、B2BマーケティングとB2Cマーケティングの境目がなくなりつつある、という話を耳にするようになりました。それは本当でしょうか。
ここでB2BとB2Cの違いを改めて考えてみましょう。
などがあげられるでしょう。
テクノロジーの進化とともにB2Cの事業をしている企業が、ダイレクトビジネスを立ち上げることが珍しくなくなりました。それゆえ、B2BがB2Cに歩み寄っているように見えるのかもしれません。また広告テクノロジーによりドメインレベルで顧客を特定できるようになっていますし、外勤営業がいなくともRunRate(小口)的な売上をダイレクトWebやダイレクトコールセンターで処理できるようになっています。それゆえ、境目がなくなりつつあるように見えるのではないでしょうか。
しかし、法人特有の「セールスプロセス」や「意思決定プロセス」自体は変わりません。そして、その“商流に沿ったマーケティング活動”こそが、B2BとB2Cの決定的な違いだと思います。
極端な例ですが、工作機械や大型船舶などを店頭やダイレクトで販売できないのを象徴しているように、B2BとB2Cは一線を画す“売り方”が存在します。それゆえ、B2BマーケティングとB2Cマーケティングを一緒くたに語られると、違和感がつきまといます。
以前、海外で著名なCMO(Chief Marketing Officer)の肩書きを持つ方にブランドエクイティの講釈を受けた経験があります。そこではナイキ、アンダーアーマー、ポルシェのブランディング戦略がとうとうと語られていました。
僕はもう少し聞き手側の立ち位置を理解して語ってほしかったな、といまだに心残りがあります。なぜなら、その方自身がB2Bソフトウエアの(当時)現職CMOであり、参加していた我々もその会社の社員だったからです。
B2Cはあくまでも個人の消費者に対する活動であり、B2Bは法人(企業)に対して行われる消費刺激活動です。商流に違いがある限り、当然販促活動は異なります。それをおざなりにしてはどんなステキなマーケティング手法を選択しても砂上の楼閣ではないでしょうか。
現場で活動していない方々にとっては、そんなことはどうでもいい差なのかもしれません。しかし、僕たちはB2BとB2Cの違いを理解したうえで対応しないと、結局効果の出せない“お飾り”なマーケティング部隊になってしまいかねません。
こだわりはもち続けたいところです。
次回は、B2Bマーケティングにおいてそのこだわりをどう実現していくか、どんな手法でDemandGenerationを設計すべきか、具体的に触れてみたいと思います。
B2Bマーケティングの醍醐味は、案件創出にあります。