読売新聞社は4月1日付で、東京本社広告局の組織を改編した。新聞記事下広告枠のセールスをメインとしていた従来の営業体制を改め、広告主や広告会社からのあらゆる相談に1人の営業担当者が対応できるようにする。グループの持つ広告商品やリソースの中から、ワンストップで提案できる体制を構築するのが狙い。
デジタル広告や小枠広告、別刷り広告特集など記事下広告以外の広告商品について、商品開発や社内外との調整などを行う専門部署「メディアデザイン部(MD部)」を広告局内に新設した。部員は12人。営業担当者と連携し、メディアプランナーとして提案に必要な実務を担う。営業担当者は広告主や広告会社への対応に注力することで、提案力とスピードの向上を図る。また広告主業種別に分かれている営業部の担当を組み換え、「出版」と「エンターテインメント」を一つの部に集約するなど親和性の高い業種をまとめた。このほか、企画特集やクリエイティブ提案の機会の増加に伴い、アートディレクターの採用や新規制作会社の導入を進めるほか、広告局員向け研修の実施など、提案力強化のための体制を整える。
大阪本社広告局では、同日付でビジネス開発部、広告統括部、広告編成部を統合し「営業政策部」を新設した。営業支援にとどまっていた各部門の機能を改め、新広告商品の開発や大型企画の立案を担うなど、地域拠点でも提案力強化のための組織改編を実施した。
読売は2015年から広告局の組織改革に着手。同年4月には、読売グループの力を活用するためのハブとなる機能として、東京本社広告局に営業推進室を発足した。読売グループには新聞広告のほか、文化事業やイベント、オンラインメディア「ヨミウリオンライン」、球団や放送局出版社、商業施設などがあり、それらは広告メニューにもなり得る。新聞広告市場のマイナス成長が続く中で、グループのリソースを活用してクライアントの課題解決を図る。
東京本社の松田陽三・取締役広告局長は、「様々なメディアや広告スペースが増える中で、新聞広告スペースの相対的な価値の低下は避けられない。枠売り、スペース売りの考え方から脱却し、立体的な広告プランを提供していくために今回の組織改編に踏み切った。読売新聞の持つ、コンテンツを生み出す力をフルに使って解決策を提示していく。クライアント同士のコラボレーションなども仕掛けたい」とコメントした。