国民からの意見募集が始まった、2020年東京五輪の公式エンブレム4点で、うち1点は、“敗者復活”した案だった。8日、都内で開かれた会見で、宮田亮平・エンブレム委員会委員長が「“その他”から選んだ1点」と紹介した案だ。
“敗者復活”案は、2回のデザインチェックを経た64点のうち、1月9日発表の採用候補4点・次点候補4点を除く56点から選ばれた。3月28日までの間にエンブレム委員会で投票により決定した。五輪大会組織委は、詳しい時期は非公開とした。
採用候補4点・次点候補4点は、商標調査や国際オリンピック委員会の求める条件にそぐわないとして、採用候補から1点、次点候補から2点の、計3点に絞られていた。
その3点に、なぜ、もう1点加わったのか。会見後、記者団から質問が集中した。「3点でもよかったのではないのか」という疑問だ。
「複数の候補で意見募集したい」「決定時期をこれ以上遅らせられない」ーーふたつの思惑が重なった。採用・次点候補の4点は、発表直前まで商標調査のさなか。候補にできないものが発生すれば、最悪1点での発表となり、意見募集ができなくなる。選考をやり直せば、エンブレムの決定が遅れる。そこで、“敗者復活”案が浮上した。
エンブレム決定が遅れれば、8月5日開幕のリオ五輪や、エンブレムを付けたグッズ販売収入にもする。旧エンブレムの取り下げ以降、一部スポンサーからも意見が寄せられていたという。
商標調査は、最終候補4点・次点候補4点・“敗者復活”の1点の、計9点で行った。組織委では、「最終的に調査費用がいくらになるかはまだわからない。1点あたり2000万円というのは満額だった場合のため、最終候補4点以外の調査費用については、できるかぎり下げる方向で交渉したい」とした。
また、いずれの候補も、エンブレム要件を満たすための「技術的な調整」(組織委)をほどこした可能性がある。各作品の調整の有無は「非公開とさせていただきたい」と繰り返した。