広告会社側にアドバンテージがある
今後この両者の戦いでカギになるのは、戦略立案やプランニングなどのアドバイスに対して「フィー」を支払うという商習慣が日本企業でどれぐらい許容されるかどうかだと感じています。
実は私はNTT退職後にITコンサル会社に1年だけ在籍したことがあるのですが、当時先輩が「日本はコンサル市場が米国に比べて小さいから今後確実に成長する」という発言をしていたことを良く覚えています。ただその際に逆説的に感じたことは、実はコンサル会社が「フィー」を元に提供している有料コンサルや有料アドバイスという市場を、日本においては総合広告代理店や総合商社が無料で提供するというある意味フリーミアムなビジネスモデルで無力化しているのではないか?という仮説でした。
広告の手数料収入があるからこそ、質の高いアドバイスや事前のリサーチやプランニングは無料で提供できたというフリーミアムのビジネスモデル自体が、最近になって総合広告代理店自体のデジタルシフトの障害になっているという見方をされる方もおられるようですが。日本企業がアドバイスという形が見えないサービスに対して高額な「フィー」を払うのに躊躇するケースがまだまだ多いのも現実だと思います。
そういう意味では、実は個人的には日本市場においては広告会社側にアドバンテージがあると思います。
その日本企業の価値観が変わることによって日本の広告業界の構造の地殻変動が起きるのか、それより先に広告会社が変化に対応することができるのか、それとも両者の協業や空中戦によって、私なんかの全く想像を超えた異なる変化が起きるのか。
宣伝会議の記事にもあるように、広告主や広告会社からコンサル会社への転身も増えているようですし、コミュニケーション業界の片隅に存在する自分にとっても、これから数年は業界の構造変化から目を離せない数年になるのではないかとドキドキしている今日この頃です。