インターネットの進化は、企業のコミュニケーション活動に役立ちますか?児玉太郎さんに聞く

企業はどうインターネットを活用するか

さて、常時接続されていて、大切な人とのつながりとコミュニケーションを管理し、「知る」ツールとして大衆化したモバイルインターネットを活用している人々を「顧客」として捉えた際に、企業はどのような手法でインターネットを活用すれば、信頼関係を深め、ブランディング向上や、購買行動につなげていくことができるのでしょうか。

共有性の高いコンテンツを生成するバイラルメディアや、共有機能を組み込んだオウンドメディアなど、どうしたら「知って」もらえるコンテンツが生成されるかを検証するべく、さまざまな試行錯誤が活発に行われていますし、パーソナライズされた広告出稿を実現するビッグデータ解析などを軸にした広告システムの開発などの進化も、とどまるところを知りません。

しかしながら、そもそも「知って」もらった後、実際の購買行動につながったのか、成功と失敗を計測するための確実な手法はまだ確立されているとは言えず、さまざまな効果測定ツールや、テストツールなどが野放図に乱立している状態が続いています。まだ、正解を定義するには程遠く、これからもさまざまな手法が研究されていくことでしょう。

そんな中で、確実に言えることは、インターネットはコミュニケーションプラットフォームになったことで、少しずつ、人間に近づき、いずれは人の生活そのものと融合しようとしているということです。インターネットが誕生してからというもの、果たしてそれは敵なのか味方なのか、既存メディアとの共存は可能なのか否か、さまざまな議論が繰り広げられてきました。派手なギミックや演出を模索したり、従来型マーケティングとの融合を試したりしながら、インターネットの立ち位置や役割を、明確化しようと試行錯誤してきた時期が長く続いています。

しかし、技術の進化と、使われ方の大衆化によって、インターネットは今、人の生活における拡張機能として、水溶液のように人間界に溶け込みつつあります。緻密で、人らしいコミュニケーションが、インターネット上で実現できるようになりました。十分なデータ通信帯域が確保されたことにより、音声や動画のストレスレスな再生も当たり前になりました。

そして、特別な知識を持っていなくても、誰もがインターネットがどのように動いているかを意識することなく、自然に触れるようになったのです。これは同時に、もう企業はインターネットを必要以上に特別扱いしたりする必要がなくなってきたということではないでしょうか。

シビれるコピーと、熱いクリエイティブが、インターネットという不思議なトンネルを通過しても、ちゃんと人に届き、感動させ、熱狂を生むことができる。

インターネットの進化は、インターネットを意識する必要がなくなってきたところまで、進んだということなのかもしれません。

さぁ、今日もノートと鉛筆をもって、いつもの喫茶店に出かけましょう。

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Advertising Week Asia 2016
Advertising Week Asia 2016

博報堂 長谷部守彦

D2C 宝珠山 卓志

博報堂ケトル 嶋浩一郎

松田康利事務所 松田康利

ぐるなび 藤田 明久

Taro & Company 児玉太郎

TBWA\HAKUHODO 佐藤雄三

電通 頼 英夫

ツナグ 佐藤 尚之

イグナイト 笠松良彦

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