情報を浴びながらアウトプットする。実践中の“21世紀の新しい働き方”とは?(ゲスト:堀江貴文さん)【後編】

実は深刻な人材不足?日本の刑務所の知られざる事実

堀江:情報収集に忙しかったし、勉強でいうと、パイロットの免許を取ろうと思って。ロケット開発を北海道でやっているので、北海道によく行くことになるかなと。飛行機があったら便利だなと思いながら、航空工学の勉強はやってましたね。パイロットの免許が取れるぐらいは勉強しました。

澤本:じゃあマンガ喫茶でずっと勉強している感じで部屋の中にいるような? 自分の時間をずっともらえているという感覚になれるものなんですか?

堀江:そうですね。仕事と寝てるとき以外は。

権八:仕事は単純作業をやらされるわけですか?

堀江:いえ、刑務所の中も人材不足なので。結構、人材不足は深刻化してますよ。たとえば、刑務所の食事って、基本的に懲役囚がつくるんですよ。

澤本:自分でつくってるんだ。

堀江:炊場と言って、炊事場があって。炊場配属の受刑者はエリートなんですよ。だって、刃物も扱うし、イタズラされても困るから。食事の時間も決まってるので、時間もピッタリ料理をつくらなければいけない。いろいろ高度なスキルも求められるんですね。なので、若くて、体力があって、優秀な奴が炊場に配属されるんですけど、今、人材不足になっていて、炊場に耐えられる人材がいないんです。どんどん少なくなってきているので、大阪のある拘置所はもう外注しはじめましたね。

僕は衛生係という、要は雑用係ですね。例えば指導補助。刑務所では基本的に、刑務官1人で数十人の工場を見ているので、回らないんですよ。技官というのがいて、助けてはくれますけど、ずっといるわけではないので。だから、僕たち受刑者が刑務作業を習って教えるんですね。キーボードをつくるなど、そういう作業があるんですけど、この部品をこうやってと。そういうのをやるわけですよ、いちいち。

工芸品だったら白河だるまなど。工程が結構いっぱいあって、最初は段ボール紙から加工していって、糊付けをして、最後に塗って、顔描いてというところまで十何工程あるんですね。それを全部覚えて、工程管理してという指導補助的なのもやるし。資材の運搬や洗濯、掃除、配膳もやらなければいけないので。毎日の食事の配膳も僕たちの仕事。

中村:真面目にやってたんですか?

堀江:もちろん真面目にやらないと。そういう作業をやる人が工場に3、4人いるんですよ。僕はそのうちの1人。だから、気持ち的に楽は楽ですよ。ずっと座って仕事をしなければいけないわけじゃないので。座って仕事をしている人はトイレ行くにしても、いちいち許可をもらわなければいけないので面倒くさいです。僕たちは自由に行けるので。

澤本:仕事によるわけですね。

堀江:雑談していてもあまり怒られないし。作業中でも。

権八:出てこられたときに激痩せしてたじゃないですか。中でトレーニングを?

堀江:トレーニングしてましたけど、自然に痩せますよ。カロリーが決まってるので。

澤本:摂取カロリーが落ちたから痩せたと。

堀江:そうですね。お酒飲まなくなって、摂取カロリーが落ちたので。毎日、8時間、9時間寝るので痩せますよね。

澤本:お酒は一滴も飲めないんですか?

堀江:もちろんです。

澤本:中にいるときはお酒なしなんだ。じゃあ健康になっちゃいますよね。

堀江:そうですね。もともと肝臓は強いほうで、ずっと正常値だったんですが、γ-GTPが15ぐらいまで下がりましたから。肝臓ほとんど壊れてません。ピッチピチのレバーになって。

一同:

権八:最新刊『本音で生きる』ではいろいろな方法論を書かれていますね。

堀江:僕はこんなに売れると思わなかったんです。16万5千部いってるのかな。これまでの僕のまとめ本みたいな感じです。12、13年ぐらい前に出した『稼ぐが勝ち』という本があるんですけど、内容的にはほとんど一緒です。

一同:

中村:そんなこと言っていいんですか(笑)?

堀江:もちろん、僕の中でバージョンアップしたこと、言語化できたこともいっぱいあるんですけど、昔から僕の本を読んでる人はまた同じこと言ってるわ、みたいな感じですね。だけど、わかりやすくまとめられてるよね、とは言われます。初めて読む人も多いので。

澤本:そうでしょうね。

堀江:最近、テレビのクイズ番組などに出てるホリエモンって何者なんだろうと。すごい知識や教養があるけど、何やってる人なんだ?みたいな。

権八:そういう若い人が多いかもしれないですね。

堀江:そういう人が読んでくれている。一周回っちゃったみたいです。

権八:こう言っちゃなんですけど、非常に理に適ってるというか、いい意味で真面目というか。ちょっとイメージと違うと言うと失礼ですが(笑)。

堀江:昔、同じことを桃鉄などのゲームデザイナーのさくまあきらさんに言われました。僕の本を水道橋博士に言われたか何かで読んだらしいんですよ。テレビに出てる派手なホリエモンのイメージと思って読んだら、全然違っていて、真面目すぎて拍子抜けしたと(笑)。

権八:そう拍子抜け(笑)。いやいや、流石だなと思うんですけど、ご自身でも言ってますが、効率論と言ってしまえばそうかもしれないけど。

堀江:よかったと思うのは、こういう普通のタイトルをぶつけられるようになったことですね。

中村:『拝金』とかじゃなくて。

堀江:『稼ぐが勝ち』とか。あの頃って全然有名じゃなかったから、ああいうのでセンセーショナルにカマすしかなかったんですよ。

権八:『100億稼ぐ仕事術』もありましたよね。

堀江:そうそう。そんな感じでカマさなければいけなかったんですけど、今はカマす必要ないので。タイトル通りで、自然体でいける。

権八:この帯の写真がフワッと力の抜けた(笑)。

堀江:これは編集さんがうまかったです。狙ってつくったねみたいな。

中村:『ゼロ』のときはcakesの加藤さんや佐渡島くん、水野敬也さんなどと一緒に。水野さんは長野刑務所に行ったんですよね。

堀江:その辺りの人達からいろいろ知恵を出していただいて。超一生懸命つくったんですけど、これはもうその半分ぐらいまできてるんですよ。

権八:『本音で生きる』が。

堀江:これは全く手間かかってないです(笑)。販促キャンペーンも一切やってないです。サイン会を一度やっただけ。

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