ロイヤルカナンが大事にする広告では伝えられないリアリティ

親密な関係から得られた2つの「成果」

愛澤:何か誇れるような大きな成果を語るには時期尚早だと考えています。ただ、しいて言うならば2つの成果があると思います。

まず1つ目は開催するイベントの中などで、アンバサダーの生の声を数多く、そして直接聞くことにより、私たちが期待されていることは何なのかということについての理解が深まったことです。

藤崎:生の声の価値ですね。私も以前は広告会社にいたので、調査はたくさん立ち会ってきましたが、生の声は確かに違いますよね。

愛澤:カジュアルな場で、私たちとアンバサダー、あるいはアンバサダー同士が交わす会話から学ぶことがたくさんありました。アンバサダーの気持ちや真剣さがこもった言葉はとても貴重です。直接お会いして初めて分かることがたくさんあることを実感しました。

もう1つの成果は、ロイヤルカナンが創業時から大切にしている「すべては犬と猫のために」という理念や、その価値観にもとづく取り組みが、アンバサダーの方に受け入れられていると実感できたことです。これはありがたいことに、感謝や感激の気持ちをお伝えいただくこともありました。そうしたフィードバックをもらえることが私たちにとっては何よりの成果だと考えています。ここでいう成果というのは、私たちの考えていること、向かっている方向が間違いではないと確認できたことです。

藤崎:それは素晴らしいですね。

愛澤:これらは小さな成果に見えるかもしれません。しかし今後プログラムを発展させていくうえで、私たちにとって非常に大きな支えになると信じています。これからも謙虚な姿勢を大切にしながら、プログラムの充実に集中したいと思います。

藤崎:数値的な成果を求める企業が多いところ、ロイヤルカナンは現時点では違う価値観を成果と実感しているというお話しですね。とても勇気づけられます。

愛澤:個人の考えとして述べれば、アクションに対してすぐに結果を数字で示さなければならないという考え方も理解できます。しかし私たちの取り組みは、アンバサダーの皆さまと犬と猫の健康を「育む」プログラムです。したがって、時間はかかるかもしれませんが、絆づくりや真に役に立つプログラムの充実化をより大切にしたいと考えます。

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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