今求められているのは、俯瞰した視点での「戦略論の体系化」
僕は、いま戦略に求められているのは戦略論全体を俯瞰して整理することだと思います。俯瞰して全体を見渡せば、戦略迷子にならずに済むというわけです。
そんな理由で、雑誌『宣伝会議』で「手書きの戦略論」という連載をさせて頂き、このたび『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略論』という一冊の本にまとめました。
経営戦略とかマーケティング戦略の教科書はたくさん出ているし、コピーライティングとかアイデアづくりの本もある。
でも、これまでコミュニケーション戦略についてまとめた本はありませんでした。それはなぜかと考えてみると、ネットやテクノロジーの進化によってコミュニケーションの手法はどんどん複雑になっているのに、その変化に戦略理論がついていけなかったから。そこにチャレンジしたわけです。
さてここまで、戦略、戦略と言ってきました。
では、そもそも「戦略」とはなんでしょう?話すと長くなるので簡単にまとめます。戦略とはもともと戦争用語で、戦略の定義には3つの要件があります。
その3つとは「目的」「哲学」「資源配分」。
- 特定の目的を達成するための総合的な計画であること
- その背景には戦い方の思想・哲学があること
- 資源配分に大きな影響を与えるもの
が「戦略」というわけです。
では、コミュニケーション戦略の目的は何でしょうか?
僕は「人を動かすこと」だと捉えました。
マーケティング・コミュニケーションなので、最終的にはお客さんにモノを買ってもらうことを目指しますが、その手前での、店に足を運ぶとか、商品を試すとか、ネットで調べるとか、リツイートするとか、いろいろな行動があります。それらも含めて、人を動かすのがコミュニケーション戦略の目的。
また、マス広告でのイメージ構築に予算を突っ込もうとか、ワンツーワンのおもてなし強化のためにコールセンターを増強しようとか、そういった「資源配分」を決めるのも戦略の役割。
そして最後に残った「哲学」。これが、僕が『手書きの戦略論』の中で分類した“流派”にあたるもの。この本を書くにあたって、コミュニケーション戦略全体を俯瞰してみると、7つの戦略論が見えてきました。
次ページ 「戦略は“7層構造のミルフィーユ”になっている!」へ続く
磯部 光毅
アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。
アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。
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