“デザイン”に対する社会の注目を好機に変えるには? ――月刊「ブレーン」編集長 篠崎日向子

b_brain

東京五輪のエンブレムが、ついに決定した。「組市松紋」をテーマにしたエンブレムだ。発表後、制作したアーティスト 野老朝雄(ところ・あさお)さんに注目が集まり、昨晩からメディアでの報道が続いている。SNS上でも話題は絶えない。

昨年の「エンブレム」問題は、日本のデザイン、そしてデザイナーに注目を集める機会となった。同時に、日本のデザイン界のさまざまな問題を世に呈する機会にもなった。

デザインの果たす役割とは?ロゴ(エンブレム)とはどういうもので、どのように考えていくものなのか?デザイナーとはどういう仕事をする人なのか――。普段、私たち専門誌が誌面で伝えているような話がメディアで伝えられ、普段はデザインと縁のない人たちがデザイナーの名前を当たり前のように話すようになり、よくも悪くも「デザイン」というものが、世の中の人に知られることとなった。

そんないまだからこそ、「デザイン」という単語だけを、一人歩きさせてはいけない。新しいエンブレムが決まったから終わり、ではないし、デザインに対して真摯に向き合うこと、デザインについて考えることを終わりにしてはいけない。これはデザインに関わる人たちみなが考えるべきことで、私たちメディアも同様である。

2020年東京五輪開催時には、サイン計画やディスプレイ、ツール、広告など、これまで以上にさまざまなシーンでデザインが求められる。極端なことを言えば、デザインなくしては会場案内もつくれなければ、試合の告知もできないのだ。東京五輪は、デザイン本来の力をこれまで以上に発揮できる好機でもある。起こってしまったことを心に刻みながらも、そのことを前向きにとらえていきたい。

※本テーマにて、6月1日発売の月刊「ブレーン」7月号で緊急特集を実施します。

宣伝会議 東京オリンピック・パラリンピック エンブレム特集
宣伝会議 東京オリンピック・パラリンピック エンブレム特集
宣伝会議 東京オリンピック・パラリンピック エンブレム特集
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ