長寿企業の極意「周年イヤーの迎え方」〜120周年 松竹

「ポスト周年」の課題を発見

今回の周年事業の目玉のひとつが、世代や部門・グループ会社の枠を越えた「チームビルディング」を目的とした「運動会」。松竹芸能の芸人が司会を務め、松竹作品をモチーフにした運動競技やクイズ大会などを実施。

体だけではなく頭も使う「運動会」の企画テーマは「とにかく楽しい」こと。これはエンターテインメント業界に身を置く松竹グループの事業や社風にも通じることでもあります。

危機感は活字でも比較的伝わりますが、楽しさ、高揚感、ワクワク感などはライブであるイベントや、ビジュアルに訴求できるクリエイティブなどをコミュニケーションメディアとして使うことが必要です。その点で松竹の周年施策のテーマ設定は、ここでも効果的でした。

一方で、同社の周年事業の反省は、多くの施策が自由参加であったため想定していたよりも社員の参加率が低い施策もあったこと、またボトムアップ型で進めてきたため上位役職者の巻き込みが弱くなってしまったということがあります。

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号外にトップインタビューも
隔月発行の社内報の号外として、6月と10月にタブロイド判を発行。周年事業の全体像やイベント紹介などを社員に共有した。周年テーマに関するトップメッセージをインタビュー形式で掲載。

これらの課題は周年事業だけの課題ではなく、周年事業を通じて顕在化した組織風土的な課題と捉えることが重要ですが、松竹は既にそこに着手しています。

周年記念は企業経営のひとつの節目。だからこそさらなる企業の発展に向け、新たな課題を見つけることこそが、周年事業の本質的テーマといえるでしょう。

総括

長寿企業の周年記念は、企画を進めていくにつれ「やりたいこと」「やらなければいけないこと」が増え収拾がつかない状態に陥りがちです。また、周年施策で何か問題を完全に解決しようとすると、空理空論に陥り現実とかけ離れた施策を展開してしまうこともあります。組織に多くの課題を抱えやすい長寿企業だからこそ、焦点を絞ったテーマ設定と、課題解決に向けた「きっ かけ」づくりを目指すことが周年事業の成果を高めるポイントです。

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松竹 120周年プロジェクト

2014年12月
名刺・ストラップ・ピンバッジ制作
2015年1月
社員食堂(東京)
(以降、4月に東京、5月に関西で実施)
6月
社内報の号外を発行(第一弾)
グループカンファレンス
8月
若手社員を対象としたワークショップ (2回)
10月
社内報の号外を発行(第二弾)
11月
社員向け運動会
12月
全社員パーティー

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