村田:私は電通本社から電通九州に出向して、CMプランナーとして九州の企業を中心に担当しています。2009年電通入社組で尾上と同じ8年目です。今は仕事の9割が映像になります。
尾上:僕も村田と同じ2009年電通入社組で、CDCという部署でデジタルを中心に担当しています。最近、関わった仕事は、日清食品の「10分どん兵衛」や、KIRIN淡麗グリーンラベル「GREEN NAME」、「イタリア人が認めなかったパスタ」などです。
村田:パスタスタイル、すごく売れたんですよね。
尾上:想定よりも3倍のスピードで売れたと聞いています。とにかく売れるキャンペーンをWeb上で行いたいと思い、POPになっても伝わるぐらいに強い企画を考えました。そのため、通常は広告主としては発表しないようなデータを正直に出しました。
ここが肝なのですが、「イタリアでは認められませんでしたが、日本のみなさんはどうですか」とサイト上で投げかけたのです。そのメッセージが動画と一緒に広がり、SNS上で「自分はパスタだと思う」「違うけど美味しい」などの意見が拡散しました。スーパーなどの店舗の方にも面白がってもらい、Webサイトをプリントアウトしたものを店頭に貼ってくれました。Webサイトが、本当にPOPのように働いてくれたという感じです。ちなみに、「パスタではないし、美味しくない」という意見はほぼありませんでした。二重に否定すると性格が悪く見えてしまうということもあると思います。
村田:今は動画だけしか公開されていないけれども、Web単発の仕事ではない。こういった構造として面白い仕掛けを行えることが、尾上の一番得意なところですよね。
尾上:一方で、村田はムービー単体のクオリティで勝負するような仕事が多いですよね。ちなみに英進館のテレビCM「歩く男」はどういうお題だったのでしょうか?
村田:英進館は実績のある進学塾なのですが、決してスパルタではないのです。象徴的な話があって、受験直前になると先生たちはいつも会議室に集まって頭を悩ませながら考えごとをしている。何を考えているのかというと、生徒をリラックスさせるためのギャグを考えているらしいんですよね。それは、すごく英進館のマインドを表してる。
例えば強豪校の部活って厳しいしツライはずですけど、目標に向かって高いマインドで全員が進んでいきますよね。でも、部活が終わったら冗談を言い合ったり、みんなで楽しくしながら厳しい練習を乗り越えていくのだと思います。
CMもおもしろいし笑えるけれど、根底にある考えは外さずに丁寧につくるという気持ちでいつも取り組んでいます。
尾上:CMの結果、英進館の生徒は増えましたか?
村田:120%になりました。