次どこに行けばいいのか、常に悩んでみる
村田:そんなうだつが上がらなかった二人ですが、色々な転機がありました。
僕は、九州に来れたことが今のところクリエイティブ人生での転機だったなと思っています。東京の電通のメンバーは、みんなものすごく優秀です。最初に、みんな「俺が一番面白い」と思って入社してくるのですが、全然そんなことなくて。僕は出だしにつまずいてしまったため、やりたい仕事から遠ざかっているような状況だった。ちょうどそのときに、電通九州が若手を何人か募集しているという話を聞きつけました。
みなさんご存じかもしれないですけど、九州は全国的に見てもCM大国です。そこで、その募集を聞きつけて、いくつかの戦いを経て、九州に出向することになりました。最初は思うようにはいかなかったのですが、だんだんと上長や制作会社などの周囲の協力を得て、九州での働き方をつかんでいきました。
尾上:3年くらい前ですよね。一方、そのころの僕は、プロデューサー職だったのですが、とにかく企画案を出しまくっていました。そしたら、僕がクリエーティブ局に転局したときに、ある営業の先輩がそのことを覚えてくれていて、「お前やる?」と仕事をくれたのです。そこで担当した「オアシスフォトファクトリー」という仕事がメディア芸術祭の賞をもらいましたし、道が開けてきました。どんな境遇でも、やりたいことをひたすら押し出していると、良いことがあるのだなと学びました。
村田:今、色んなことをしたがる人がたくさんいます。ただ、さきほど伝えたようにライバルは同じ会社内にもいますし、社外にもたくさんいるので、色んなことをやっていると、埋もれてしまうという実感があります。
僕の先輩の東畑幸多さんとプロボクサーの辰吉丈一郎さんが似たようなことを言っていて。東畑さんからは、「次どこに行けばいいんだっけ」ということを若手は常に考えなければいけないし、そこに迷っている若手が今いっぱいいる、と言われました。
自分に本当に才能があるのか分からなかったり、コピーに全力投球すればいいのか、デジタルに足を進めればいいのか、結局その場で「どうしよう、どうしよう」ってなっている人がすごくたくさんいます。
辰吉さんが言っていたのは似たようなことで、「今の時代、みんな、やりたいことがありすぎるんやと思う」と。
尾上:東畑さんと辰吉さんは似てるということ?
村田:違う。そもそも、打ちこむものが何かを決め切れていない。「僕にはボクシングしかなかった」と、辰吉さんは言っていたんですが、現代の人は「あれもやりたい、これもやりたい」が多すぎて、とにかく決められないってことを言っていました。
もしみなさんが、万が一同じ状況にいるならば、自分の好きなことに全額ベットする、というのが大事かなと思います。ちょっと勇気を出して、一歩踏み込んでみるといいのではと思います。
(後編に続く)