「紙」編集者の逆襲 — メールやLINEが主流の時代だからこそ「手紙」が最強

会ってもいない相手の心の中に入っていく

僕が新卒で入社した双葉社で、編集者になって作った1冊目の単行本は、『たった一人の熱狂』(見城徹著)です。755というトークアプリでの見城さんの言葉があまりに刺激的だったため、僕はすぐに「これを本にさせてください」と755に書き込み、同時に手紙も書きました。アプリ上でアプローチすることは、簡単に誰にでもできます。それだけだったら、絶対に見城さんの心は動かせないと思ったのです。

僕が編集者になったのは、見城さんの『編集者という病い』という本を読んだことがきっかけだったので、そういった見城さんへの積年の想いをひたすら手紙に書き連ね、送りました。結果、本を出すことができて、今の僕があるのですが、手紙は自分の想いが本物であれば、絶対にそれが伝わる唯一無二の最強ツールなのです。

でもね、言いたいことはこれじゃない

さんざん語ってきましたが、僕は「手紙ってすごいでしょ!」ということを言いたいわけではありません。「みんなが行っていない道にこそ、実は花が咲いてるんだよ」ということを言いたかったのです。

みんながLINEやメッセンジャーなどと、効率を重視する方向に進み、手紙の価値を忘れ去っていればこそ、そこには際立った価値が生まれます。周りと同じことをしていたら、周りと同じ風にしかならないはずです。みんなが歩く方向にひとり背を向け、逆張りをすることで初めて差がつくのだと思います。

「Web編集者さん」は、こぞってMacで何かを書いていますが、僕はメルカリで1万円で買った謎のパソコンで、このコラムを書いています。これも逆張りです。まだ言いたいことはありますが、パソコンがやけに熱を帯びてきたので、ここらでおしまいにします。

また次回、お付き合いください。
※ちなみに、「ガケガミ」なんて言葉はありません。

本コラムニストの箕輪厚介氏のインタビュー記事が掲載されている『編集会議』2016年春号、好評発売中!

「読者を開拓するメディア戦略 コンテンツ・ビジネス」

  • 『週刊文春』編集長 1万字インタビュー「スクープ連発の理由と、これからのコンテンツビジネス」
  • 編集者×デザイナーが語る「『ほぼ日』のつくり方」
  • 松岡修造という「コンテンツ」をどう編集し、Amazon年間1位を獲得したのか

「文章を書く人が知っておきたい「校正と校閲」」

  • リスクマネジメントとして捉える「校正・校閲」
  • 笑えない! 校正・校閲の失敗実例集

>詳細・購入はこちら(Amazon)


▽『週刊文春』新谷学編集長 ×『NewsPicks』佐々木紀彦編集長 開講式登壇決定!
編集・ライター養成講座 2016年6月18日(土)開講 申込受付中
詳しくはこちら

1 2 3
箕輪 厚介(編集者)
箕輪 厚介(編集者)

1985年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、沖縄県の瀬底ビーチリゾートに内定するも入社前に倒産。就職浪人を経て双葉社に入社。ギャルファッション誌『エッジ・スタイル』の広告営業として、商品開発やイベントなど幅広く仕掛ける。2013年にはネオヒルズ族とのタイアップ企画『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊。発売日に与沢翼が書類送検されるも即完売。Amazon総合ランキングで1位を獲得。2014年から編集部に異動。『サッカー批評』の副編集長をやりながら、『たった一人の熱狂』見城徹、『逆転の仕事論』堀江貴文(共にAmazonビジネス書ランキング1位)などを手掛け、2015年に幻冬舎に入社。

箕輪 厚介(編集者)

1985年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、沖縄県の瀬底ビーチリゾートに内定するも入社前に倒産。就職浪人を経て双葉社に入社。ギャルファッション誌『エッジ・スタイル』の広告営業として、商品開発やイベントなど幅広く仕掛ける。2013年にはネオヒルズ族とのタイアップ企画『ネオヒルズ・ジャパン』を創刊。発売日に与沢翼が書類送検されるも即完売。Amazon総合ランキングで1位を獲得。2014年から編集部に異動。『サッカー批評』の副編集長をやりながら、『たった一人の熱狂』見城徹、『逆転の仕事論』堀江貴文(共にAmazonビジネス書ランキング1位)などを手掛け、2015年に幻冬舎に入社。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム