【前回記事】「制度よりも雰囲気づくりが大事、育休からの復帰率100%を実現できている制作会社」はこちら
味方になってくれる人を見つけて
——これまでの経歴を教えてください。
高校卒業後、地元九州のデザイン事務所に入りました。専門学校という選択も考えましたが、実践によって自分の力を高めたいと思い、就職を選びました。その会社は少人数ながら、印刷、デザイン、DTPなど手広く手掛けていたので、いろいろな知識を身につけることができました。3年間働いたあと、フリーランスを経て上京、ロフトグループに入りました。組織の改変で今の会社に入り、現在16年目です。役員になった翌年の2013年に結婚し、2014年に出産しました。
——役員就任と結婚・出産が重なったのですね。結婚・出産のタイミングについてどう考えていますか。
「具体的にここ」というタイミングはないと思います。仕事の波に合わせて妊娠できるわけではないですし、休みがとりにくい業界ですから、ある程度は「勢い」が必要ではないでしょうか。ただ入社1、2年目で産休を取るのは難しいと思いますので、長いスパンで見て、ある程度の計画は必要です。その際、結婚や出産に理解のある人や、味方になってくれる人を見つけておくと心強いです。上司や一緒に仕事をしている人、自分がいなくなることによって負担が増える人に対して話をしておくと良いと思います。私の場合、役員のお話をいただいたときには、結婚と出産を視野に入れていたので、その点を先に話し、了承のうえ、指名していただきました。
——復帰後はどのようなことが大変でしたか。
育休中は復帰後について、時短でできる範囲のことをやって、育児もしっかりやって、できれば週1日は自宅勤務にしたいと思っていました。実際に復帰して1カ月間は、週5日、時短で働いていたのですが、気づけば仕事が増えていました。
最初は何をやっていいのか分からないこともあり、あまりハードではありませんでしたが、やることが見えてきて、問題点を解決しようとすると、仕事量も増えてきて、だんだん時間に追われてきてしまいましたね。家で仕事をする環境を整えて、どうしても休まないといけないときは持ち帰ってもいましたが、あれもこれも全てを完璧にやるのは難しいなと感じました。
立場上、人が少なくなったときなど、会社の状況がみえるので、他の人に負担をかけないようにしようとするのですが、それが裏目に出てしまうんですね。目一杯仕事をしたいという気持ちがある一方で、のめり込みすぎると家のこともできなくなるといったジレンマで苦しい時期もありました。
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松永 規愛(まつなが・のりえ)
スケッチブック片手にデザイン事務所の門をたたき、デザイナースタート。その後、上京。株式会社ロフト入社、グループ会社のロフトウェイズに転籍。デザイナーを経てアートディレクター、現在、執行役員。主に、役員業務とあわせて、クライアントの営業窓口から、マネジメント、ディレクション他幅広く対応。ライフワークバランスを日々模索中。