民間企業出身の自治体広報が集結 PR発想の「地方創生」への挑戦

外からの視点がPRに必要

編集部:最後に、自治体の広報を担う立場として、同じく広報担当の皆さんへのメッセージ、あるいは「こんな提案、歓迎します!」というヒントがあればぜひ教えていただけますか。

奥村:各自治体で様々な取り組みをしていますが、広告会社、PR会社の方から既存の企画と同じような提案をいただいても、なかなか検討に至らないことは多々あります。ご提案もいただきますが、予算面の問題もありますね。

大倉:一方で、地方にはハブとして機能するポジショニングの人がとても少ないと感じているんです。ハブというのは、自治体の中と外や、中の人同士をつないでいく人のこと。だからこそ、広告会社やPR会社といったコミュニケーションを仕事にしている人の視点は自治体PRの飛躍に向けて大きな力を秘めていると思います。

広告会社での仕事の成果は企業のためにはなりますが、自分たちの生活には還元されません。一方、自治体のPRやコミュニケーションデザインは自分たちの足元の生活改善にもつながるので、他の業界のPRとはまた違った、新しい可能性に一緒にチャレンジしていってほしいですね。

取出:今の自治体PRに外からの目線を入れることは、私もとても大切だと思います。地元の人にとっては当たり前のことでも、外の人からすれば「おもしろい」「魅力的だ」と思えることって意外とたくさんあるじゃないですか。それを自治体の中にいる人に気付かせてあげてほしいですね。そうして、新たに発見した資源を住民の視点や意見とハイブリッドに組み合わせることがポイントになってくるのではないかと思います。

奥村:例えば各自治体が国に提出している「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の重要業績評価指標(KPI)を参考に、その目標値をクリアするためにコミットできるような提案をいただくなど、より自治体の方向性に合ったアイデアをいただければ、自治体も耳を傾けやすいと思います。

大倉:そうですね。自治体には、今どんな方針で街づくりをしていきたいと考えているのかを表明している場が必ずあるはずですから、そこをまずはチェックしてほしいと思います。

取出:茨城県では先ほど申し上げた活動を続けつつ、現在は5月15日から開催される「G7茨城・つくば科学技術大臣会合」や、9月からは「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」も控えています。どれだけ人を呼び込みながら茨城を有名にできるか、ということで奔走していきたいですね。

白川村(岐阜県)

選ばれる地域になるために必要なこと

①「広告」的なアプローチだけでは最適解にならない
目に見える成果物=実よりも、土地の土づくりや種まきが必要。

②時代の転換期。仕組みと認識のアップデートが急務
中央集権・縦割では対応できない課題が多い。個別最適より全体最適。数字にならない、しづらいことにこそポテンシャルがある。

③「エージェンシー」的役割は、地方では重宝される

白川村「地域おこし協力隊」のメンバー。20歳から37歳まで様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まる。移住空き家対策、インバウンド、社会福祉など、多岐にわたる分野で活動。
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