「消えたら面白いもの」は何か?を考えていった
ある朝起きたら、主人公の手に不思議な力が…。 パジャマに触ると、パジャマが消えた?家が消え、髪も消え、通りすがりの女子高生の服も消してしまって大ピンチ!第3回BOVAでグランプリを受賞した「デンジャラス・タッチ」は、課題であるミューズの「今すぐ手を洗いたくなる動画」というリクエストに応え、“さわる”をテーマに、あえて突飛な設定のストーリーを描いた作品だ。
企画を考えたのは、電通 コピーライター/CMプランナーの茂庭竜太さん。応募のきっかけは、電通九州の村田俊平さんから「自由につくってみて」と声を掛けられ、ソーダコミュニケーションズのプロデューサー 今野俊也さん、澤田昌久さんを紹介してもらったことだった。
「パイロット、ピーチ・ジョンなど何社かの課題を考えましたが、ミューズの課題は、『実は手はこんなに汚い』といったアプローチ以外のやり方でミューズが目立つにはどうしたらいいだろう?を取っ掛かりに考えていきました」。「さわる」ことで何が起きたら面白いか?さわったモノが消えるなどの災いが起きる ことで、逆説的に「さわれることは幸せだ」というメッセージを発信できたらいいのでは、と企画がまとまっていったという。
具体的な“事件”の数々は、「消えたら面白いもの」という発想でブレストし、監督の徳平弘一さんとアイデアを選別してひとつのストーリーにつないでいった。「お色気、ハゲネタ、トランペットみつめる黒人少年(ルイ・アームストロングへのオマージュ)など、結果的に自分の好きなクラシックネタのオンパレードになりました」。セリフがほとんどないストーリーなので、キャストには表情や動作で感情を伝えられる演技力が必要。そう考え、主人公には演技力の高い芸人の門脇のりやさんを起用。一方で、撮影に使った家は監督の家を使うなど手弁当な部分も。撮影中には、女子高生の服を消してしまうシーンを撮影中に、ちょうど登園中の園児たちと鉢合わせてしまい焦った…というエピソードも。
「起承」なしの「転結」でいい お手本は格闘技動画
CDの村田俊平さんからは、こんなアドバイスがあった。「PRIDEのドン・フライさんVS高山善廣の伝説の試合の話をよく引き合いに出すのですが、あの試合のテンポを目指せと。起承転結の『起承』はいらない、いきなり殴れ!と言われました(笑)」。このアドバイスをもとに尺を削ることに注力したことで、飛ばされずに最後まで見てもらえるムービーになったことも、受賞につながった要因だろう。
賞金の使い道は、「この作品をさらに別のアワードに応募するエントリーフィーに」。BOVAでの制作を皮切りに、さらなる受賞を狙う。
スタッフリスト
- 企画+C
- 茂庭竜太(電通)
- CD
- 村田俊平(電通九州)
- 演出
- 徳平弘一(THE DIRECTORS GUILD)
- PR
- 今野俊也、澤田昌久(Soda!)
- PM
- 渡辺航、加藤雅乃(Soda!)
- 撮影
- 櫻井敬(PICTCORE)
- HM
- 松本美香(SRYM)
- CAS
- 山内知一(ナイスホームラン)
- 編集
- 加藤忠重(digitalegg)
- MA
- 三神健太(digitalegg)
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