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編集部では5月9日~12日(現地時間)まで、米国・ラスベガスでMarketo(マルケト)が開催したイベント「THE MARKETING NATION SUMMIT」を取材。現地にて、B2Bマーケティングで20年以上の経験を持ち、4年前からパナソニックのヨーロッパ市場におけるマーケティングの責任者を務める、Stephen Yeo氏にテクノロジーで変わるB2Bマーケティングの最前線を聞いた。
—マーケティング部門の責任者として、どのような取り組みをしているのか。
私は7年前にパナソニックに入社し、4年前から現在の役職に就いている。もともとパナソニックはB2Cビジネスで成長してきた会社なので、私が就任した当時はB2Bの事業においてはCRMもマーケティング・オートメーションも活用されていなかった。
組織も営業、マーケティング、顧客データベースと製品別に機能していたので、まずその組織を統合し、ひとつのユニットにまとめることから始めた。そのうえで、マルケトを始めとするテクノロジーを導入し、活用を進めている。ヨーロッパで初めてマルケトを導入したのは、当社だと思う。現在は、ヨーロッパの50を超える国で導入し、B2BだけでなくB2Cのビジネスでも活用している。
—マーケティング部門の機能を強化したことで、どのような成果が出たのか。
現在、マーケティング部門がパイプライン全体の39%をつくっている。4年前は、その割合は8%にすぎなかったことを考えると、パナソニックのヨーロッパにおけるマーケティングの成果は急激に拡大したと言える。
マルケトを導入した当時は年間に実行できたキャンペーンは85だったが、現在は年間で1100のキャンペーンを実行するまでに進化しており、テクノロジーの活用が大きく寄与していると考えている。13ある、B2Bの製品別にリードのスコアリングも行っている。ちなみに、この4年の間に45名のマーケティング部門の人員数もマーケティング予算の額も変わっていない。
私たちが実践したことは米国のパナソニックにも導入され、さらにマルケトはシンガポール、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、そして日本でも一部の事業部門で導入されたと聞いている。
—B2BとB2Cの違いの他、製品別に販売チャネルや販売方法などが異なる。それでもマルケトの導入に影響はないのか。
マルケトは、その企業や製品のビジネスモデルに合わせて、異なる使い方ができるものだ。
例えばB2Bに比べてB2Cのビジネスでは、消費者が自らの情報を登録してくれることは少ない。情報を登録してもらえないと、消費者の興味・関心を理解しづらい。それでも方法はある。
例えば、小売り店舗に設置した広告パネルから電波を発し、あるアプリをダウンロードしたスマートフォンを持った消費者が来店した際には、電波を感知する。そしてその情報をクラウドに送り、マルケトにつなげる。そうすれば瞬時にスマートフォンに特別なオファーを送るといったことが可能になる。B2B以外、B2Cのビジネスモデルでも、そのモデルに合った使い方を考えればよい。
—IoTの浸透により、取得できる顧客に関わるデータの量は圧倒的に拡大すると思うが、その活用をどう考えるか。
私はパナソニックにとって、IoTはあらゆる領域でのビジネスの可能性を拓くものだと考えている。顧客の理解というマーケティングの観点でも、モノとモノをつなげ、さらにそのモノがネットを通じて、マルケトのようなアプリケーションにつなげることを考えていく必要があるだろう。
事業展開の点では今後、HaaS(ハードウェア・アズ・ア・サービス)が重要になると考えている。今後もハードウェアはつくり続けながらも、従来のようにハードウェアを販売して終わりではなく、製品のライフサイクル全体を見ていくことになるだろう。ハードウェアにソフトウェアやサービスといったものを組み合わせる、あるいはサービスという形を介して私たちの持つソリューションを提供するなど、IoTを始めとするテクノロジーが進化した時代のビジネスモデルに可能性を感じている。
例えば、航空機向けにエンタテインメントシステムを提供するパナソニック・アビオニクスという会社がある。同社では衛星を通じてコックピットとの通信などを可能にするシステムを提供したり、航空機を介して気象情報をリアルタイムに収集し、そのデータを気象情報提供企業に販売するなどもしている。こうした新しいビジネスがこれからも世界中で生まれていくと考えている。
パナソニックは高い技術力を持った製品を低価格で販売し、世界の市場で支持を得てきた。しかし、アジア諸国を中心に競合する企業が多く出てきている中では、常にイノベーションを起こし続けなければならない。マーケティングにもイノベーションが必要で、そこではテクノロジーへの投資が不可欠と考えている。
グローバルカンパニーであるパナソニックには、世界中の様々なマーケティングのトライやアイデアが入ってくる環境にある。世界で起きている変化にいち早く対応できる点で、とても良い状況にあると思う。これから、さらにパナソニックは進化をしていくと考えている。
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