社員が楽しみ、挑戦できる環境を意識的につくる
—スタッフが仕事をしやすい環境づくりのために、心がけていることがあれば教えてください。
多治見:大きく3つあり、私はそれを「3『現』則」と呼んでいます。(1)現物はどうなっているか、(2)現場はどうなっているか、(3)現在はどうなっているか、です。ネット時代は情報がたくさん入ってきますが、それだけで分かった気になっていると、的外れなことをしてしまいかねません。自分の目、自分の身体で体感することが大事だと思っています。また、オリエン、ブリーフィングといった既存のやり方では、デジタル時代のコミュニケーションに求められるスピード感、ユニークさにはついていけない。だから自分たちが楽しめる「チャレンジ枠」を仕事の中に3割ほどつくることを、常に意識しています。例えば部屋用消臭剤の「リセッシュ」ストーン・デザインボトルは、Eコマースだからこそ実現できたデザインです。製品情報や使用法の説明はWebサイトに埋め込むことで、暮らしになじむ商品デザインに徹することができました。社内のデザイナーがたくさんのデザインをつくって、通販サイトのLOHACOさんに選んでもらっています。こうした、当社でロングセラーになっている製品には、実はかつて一度、どん底まで売上が落ちた商品が多い。だからこそ、常にチャレンジする姿勢が必要だと思いますね。
早川:三越伊勢丹のマーケティング戦略部では「一日一褒」と称して、褒めることを推進しています。人は褒められると自発的・能動的に動けます。上から「何かをやれ」と言うのではなく、自分たちが盛り上がるのが一番いい仕事だし、そういうものしか当たりませんね。一番重要な企画力が、チームから自然と出てくるようにマネジメントする。そこがすごく大事です。社員が「自分の会社が好きだ」という気持ちを持てば、それがひいては売上につながっていくと思うのです。