電通九州 村田俊平×電通 尾上永晃「これからのキャリアにつながるちょっといい話」【後編】

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マスコミ・広告界専門の人材サービスを手掛けるマスメディアンが行うトークイベント「はたらく論」。毎回、広告界で活躍するゲスト2人が、実績や職業観、キャリアの展望などを語っている。今回は福岡で3月に開催された、電通九州の村田俊平さんと電通の尾上永晃さんによる対談をダイジェストでお届けする。

村田:「マスとデジタルを分けて語るのはナンセンス」という議論はいったん置いておいて、僕らはマス・デジタルの分野でそれぞれ異なる働き方をしているので、ここではマスとデジタルについて話したいと思います。

尾上:僕らの会社の新入社員はどちらかと言うと、CMやコピーだけをつくりたいというよりもデジタルに興味がある人が多いみたいですね。ただ、マスとデジタルの違いはそもそも何なのか、あんまり明言されていないのが気になっています。

例えば、村田の作ったCMはWebムービーとして話題になっていますし、CMとしてもよくできています。その違いはどこにあるのか。クライアントにはよく、「言うのがマスなら、やるのはデジタル」という話をしています。デジタルはそもそも見てくれない状況の中で、いかにこちらを振り向いてもらえるかが重要です。

Webニュースで取り上げられるネタを見てみると、リアルなモノやコトの方が取り上げてもらいやすいし、振り向いてもらいやすい。加えて、その時にどういう見出しで出るのかという入り口と、体験の結果、何がシェアされるかの出口、そしてもちろん実となる体験をどうグッとくるものにするのかといった構造を設計しなくてはいけない。その上で表現を乗せていく。そこがマス的な広告と違うところかな。何をどう言うかがマス的で、何をどうやって言うかがデジタル的というか…。何しろやること多くて、大変ですよ。

村田:お疲れさま。

尾上:ありがとう。

村田:Webムービーは、その顕著なものですよね。今、マスの領域だと思われていた動画がスムーズにデジタル領域に入ってきています。自分の立ち位置をどこに置くのかはっきりさせておきながら、デジタル・マスのルールを一通り理解していかないと、どうしても取り残されていくかなと思いますね。

尾上:歴史的にはマス広告が先にあって、余った予算をデジタルで何かやってくださいという時代があった。僕らが新人の頃に任されたのはそんなオマケみたいな案件が多くて、よく立ち消えになっていました。いまだにその時の怒りで仕事していますよ。それが今になってデジタルがわりとイケているという風潮になって、若手もデジタルを志向する人が増えてきて、逆にマスを希望する人が減ってきている。そこに村田のように「CMサイコー」と言う人は、勢力図でみると珍しいんですよ。最近、純粋なコピーライターを目指す人が少ないと聞きますし。

村田:CMの需要が減っているとは思うのですが、決して無くなってはなくて。面白い企画を考える人の需要は必ずある。次は、デジタルらしいぞと、クリエイターがデジタルに移動したときにCMの人口密度が薄くなります。ぐっと周りにつられないようにすると、またチャンスだったりするのかなと思いますね。

尾上:デジタルでも、イケてるデジタルとテキストサイトの流れを組んだネタ勝負のデジタルがあると思っています。電通の菅野薫さんやPARTYの中村洋基さんは、最先端でかっこいいですよ!それに対して、僕は完全にモテないデジタルなので、担当したがる人があまりいなくて、結構狙い目なのかなと。かといって、ただふざければいい訳ではなくて、ブランドとのズレの無さが大事です。みんなが見たいものとブランド保持のバランスをとっていきたいです。

村田:立ち位置の話に戻すと、そうすると何が起こるのかというと、社内や社外のグループ会社から、その分野の一番いい仕事が集まってくる。

尾上:その宣伝にFacebookが結構使えたりするんですよね。自己宣伝で、三度の飯よりバズが好き!と言っている人もいます。

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