新市場は、消費者とメーカーの「二人三脚」がなければ生まれない(ロボット掃除機ルンバ)

ファンイベントでは開発理念を理解してもらう

徳丸:アイロボット社の企業理念は「CHANGE THE WORLD」で「ロボットで世界を変える」という壮大なビジョンです。これは、つまりアイロボット社が考えるロボットが解決すべき問題として「3D」という概念があり、それら「Dull:つまらない」「Dirty:汚い」「Dangerous:危険」な仕事は、もう人がやらずにロボットにやってもらい、その分、人の時間を有効活用しようという発想のことです。

アイロボット社は、そうした明確なビジョンと企業理念に基づき研究・開発を行っています。つまり、ロボット会社が作っている家庭用ロボットが「ルンバ」というわけです。

藤崎:ロボットに対する思想が全く違うというわけですね。初めて知りましたが、それは大きな特徴ですし、イベントで消費者に直接伝えるにふさわしい内容ですね。

徳丸:アイロボットは25年以上の長い歴史をもったロボット専業メーカーで、いまや世界60カ国以上で実用的なロボットを展開しています。米国ではプール掃除や雨どい掃除、テレプレゼンスのためのロボットもあります。人々の暮らしの役に立つロボットを開発し続けています。こうしたファクトベースのことをファンイベントでお話すると、みなさん驚かれ、「ルンバ」を信頼できる要素のひとつとして伝播してくれます。

藤崎:常にクチコミなんですね。

今回のポイント

  • 新市場は消費者とメーカーの二人三脚でなければ作れない。
  • クチコミで基盤をつくり、広告でブーストを。
  • クチコミが市場を広げてくれる。
  • 長期モニターは心境と暮らしの変化を感じてもらうため。
  • ファンイベントでは開発理念を理解してもらう。

今回のまとめ

いくら企業が叫んでも、その商品が生活者に受け入れられなければ新市場は生まれない。従って新しい市場の開拓は企業だけで行うことは難しく、企業と消費者との二人三脚が不可欠である。言われてみれば、確かにその通りです。実際に新市場を開拓してきた徳丸さんの体験談には説得力があります。クチコミで基盤をつくり、広告でブーストをかける。その相乗効果を常に意識しているというお話は、マーケティングストーリーとして勉強になることばかりでした。
さらに“認知レベルの拡大後は、クチコミが永続的に行われていくための「クチコミの仕組化」作りが大切である”、という視点に、クチコミが担う役割の重要性を感じました。市場拡大のためには消費者の体験に勝る説得力はないということですね。

今日は施策編でした。明日は成果編をお届けします。

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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