軽いノリの「会食ピーポー」より、本気丸出しの「会食バカ」
会う人、会う人、同じことを言われます。「い〜っつも美味しそうなもの食べてますね〜」と。
Twitter、Facebook、Instagram、アップする7~8割は食べ物ですからね。
自分の会社 デイリーフレッシュの年賀状は、ここ数年「グギシュラン年賀状」と言って、「ニクシュラン」だったり、「ウニシュラン」だったり、「タマゴシュラン」だったり、「コメシュラン」だったりと、勝手に僕が好きなお店の好きなメニューを紹介するということをやってたりもするので、それも影響しているんでしょうね。
まぁ、この連載の依頼も、僕の食べ物好きなところに目をつけられたみたいです(笑)。アドタイの編集担当者から「会食」についてのコラムを書いて欲しいと、最初にもらったタイトル案は『グギシュラン – 社会人のための“会食力”入門』だったのですが、なんか畏まっちゃってて自分らしくないので、『秋山具義の「会食バカ」のススメ』とさせてもらいました。
「毎晩毎晩、いろんな店で遅くまで食べて飲んで、朝早く起きて朝ドラ観たり、ナットウフ朝食作ったりして、大丈夫なんですか?」とよく言われますが、「大丈夫なんですか?」という言葉の裏側には「バカなんですか?」があるに違いない。
最近、話題になった日清カップヌードルのコピーは「いまだ!バカやろう!」でした。そう、「バカ」はポジティブワード。バカボンのパパだって、愛されキャラですし。「親バカ」、「筋肉バカ」、「役者バカ」、忘れちゃいけない「釣りバカ」なども、あの人やりすぎちゃってすごいよね!という褒めワードだと思います。
この連載のタイトルを考えた時に、『秋山具義の「会食ピーポー」マニュアル』というのも候補にあったのですが、ちょっと今の世の中に媚びすぎてるかなと思い、やめました。「会食ピーポー」は軽いノリなイメージがありますが、「会食バカ」には本気丸出し感があるんです。
さて、会食にはどんなパターンがあるでしょうか。
仕事関係のおかたい感じのクソまじめな会食、仕事関係だけどバカ言える同士の愉快な会食、数十年来の同性の友人との中二病的に盛り上がる会食、大人数で初めて会う人たちがいるようなパーリー的な会食、女性のグループにひとりだけ男性が混ざり込んでも違和感がない今流行りの女子会男子な会食、そして、男女比1対1の合コンという名の会食、いろいろあります。
この連載で何を伝えていきたいかと言いますと、様々な会食のパターンを分類して、どのような関係の人たちでどのような人数構成ならこのお店でこのメニューを食べるべし!というようなことを、僕が好きなお店の大好物メニュー写真と共にアップして、具体的に書いていきます。
1軒目 東京・渋谷「ヤキニク ホルモン どうげん」
まず今回は、連載初回ですが、ちょっと特殊な会食の話。
誕生会とかクリスマスパーティーとか、近年盛り上がりを見せているハロウィンパーティーとか、年一で行われる行事ってありますよね。僕らは、その発展系な「年一会食」をやっています。
ポップな派手派手ファッションで有名な、サントリーのわだポンさんこと和田龍夫さん主催で、毎年5月に「おうし座の会」を開いていて、今年で6回目でした。毎年40人くらい集まって、半分おうし座で、半分はそれ以外の星座の人たち。
毎回参加している人は10人くらいですかね、あとは年ごとに入れ替わります。新たな参加者が来ると、また違う感じに盛り上がって楽しいんです。おうし座じゃなきゃ参加しちゃダメ!だとか、毎年同じメンバーが参加しなきゃ開催しない!というようなことはありません。会のルールは「ゆる〜く」。そのゆるさが6年続いている理由でしょうか。
会場は毎年、東京・渋谷にある「ヤキニク ホルモン どうげん」を貸し切らせてもらっています。なんで焼肉かと言うと、もちろん「おうし座の会」だから。おうし座が集まって牛を食べよう!的なノリって、バカっぽくて楽しいじゃないですか。まさに、「会食バカ」。
おうし座が牛を食べるってテーマがあるのなら、焼肉屋はどこでもいいじゃん!って軽く考えないでほしいのです。ここが大切。肉や料理が美味しいだけではなく、「盛り上がりメニュー」が必要です。
「ヤキニク ホルモン どうげん」の「盛り上がりメニュー」は、薄く切ったA4等級の黒毛和牛をちょい炙ってりんごの細切りを巻き巻きして食べる、その名も「りんご」。ネーミングがチャーミング。噛むととろけるほどやわらかい肉、その中にはシャキシャキのりんご、肉とタレの甘みのあとにりんごの酸味、食べれば参加したみんなの瞳孔が開くこと間違いなし!
そしてもうひとつの「盛り上がりメニュー」は、かために茹でたしっかりコシのある細麺を水でしめて、シャキシャキもやしとゴマと秘伝のタレで和えた汁なし麺「ザ・麺」です。シンプルなのに味が奥深くて病みつきになる旨さ。
某雑誌の編集長はこの「ザ・麺」を初めて食べた時に感動して、その味が忘れられなくて翌日にまた食べにきちゃったそうです。
参加した人たちを魅了する「盛り上がりメニュー」がある店での会食は、心にも舌にも胃袋にも楽しさと思い出が染み込みます。
「おうし座の会」では、広告界の人が多いですが他業種の人たちもいて、会の最中は仕事の話はほとんどしませんが、そこに参加した人たちで、後日仕事が生み出されることもあります。楽しい会と美味しい味を同時に体験しあっていることで、仕事をしてもスムーズに進行していく。これを「吊り橋効果」ならぬ、「会食バカ効果」とでも呼びましょうか。
「おうし座の会」以外にも、わだポンさん主催で、毎年11月頃に「上海蟹の会」をやっています。上海蟹の季節だから上海蟹を食べに集まるという感覚は、桜の季節だからお花見に集まるということと一緒です。「年一会食」をたくさん企画すれば、美味しくて楽しく様々なジャンルの人ともつながって、その後の別の会食へと枝分かれしていきます。会食ループって、ハマったら抜けられないくらいヤバいんです。
店舗情報
ヤキニク ホルモン どうげん
東京都渋谷区道玄坂2-20-9 河合ビル 1F
電話番号:非公開
営業時間:18時〜24時
定休日:不定休
新コラム『秋山具義の「会食バカ」のススメ。』は、隔週で金曜日(予定)にアップしていきます。
次回は、6月10日(金)予定。お楽しみに!