地域活性の情報を発信中のブロガー・染谷昌利さんに突撃「業界内の『当たり前』を疑おう!」

【前回】「地域密着メディア「灯台もと暮らし」の鳥井弘文さんに突撃!「なぜ『隠居系男子』というブログを書いているんですか?」」はこちら

月刊『広報会議』の砂流恵介さんによる連載「ウェブメディアで話題!キーパーソンに会いに行く」のスピンアウトシリーズ。企業のオウンドメディアが増えた今、発信力のある個人の書き手の皆さんを「ウェブメディア・アベンジャーズ」と密かに命名しました。第六弾は自身のブログで地域活性の情報を発信している染谷昌利さんに直撃しました。

 

—染谷さんはブロガーとしてご活躍の一方で、企業や行政機関のアドバイザーもされていますが、まずどのような情報に注目しますか。

主体となる企業や行政が「元々どんなバックグラウンドを持っているのか」という点に注目します。「シネマズ by 松竹」というサイトに携わったときは、松竹が持つ映画のコンテンツがたくさんあるので、保有している資産を掘り起こしました。新しく何かをやろうと思っても底が浅くなっちゃいますし、松竹は『男はつらいよ』などの資産がたくさんありますしね。

その上で、「業界内の当たり前は当たり前ではない」と気づいていただくことが大事だと思っています。映画業界の例でいうと「特別出演」と「友情出演」の違い、わかりますか?

—わからないです。

ですよね。そこで、「シネマズ」で「特別出演と友情出演の違いとは。カメオ出演って知っていますか?」という記事を書きました。映画関連のメディアは業界の常識だと思って書かないネタですが、一般の人は知らない。そういう情報を記事にするとよく読まれますし、検索エンジン経由で人も集まってきます。

あとアドバイザーとして一番注意しているのは、「やってあげる」のではなく、「できるようになってもらう」という意識。行政は1年を区切りとして活動することが多いので特にですが、いつか私が抜けるときが来ます。ですので、適切なツールや方法などを模索して、アドバイザーのサポートがなくてもクライアントが自らの力で実現できるようになるよう道筋をつくることを意識しています。

SNSの投稿では人の心を揺さぶろう

—ブログとSNSなどを運用するとき、使い分けをどのように考えていますか。

ブログの場合、読者の悩みを解決するような情報を発信するべきだと思っています。ユーザーは「青山 ランチ おすすめ」みたいな形で能動的に検索して調べたりしますよね。なので、「エリア」「金額」「感想」「業態・業種」を明記し、検索キーワードとして引っかかることを意識するといいと思います。あとは、「あれ」「それ」「これ」などの代名詞をできるだけ避けること。しつこくならない限り正式名称や、機械などであれば型番などを明記したほうが良いです。

—検索経由ではない、InstagramやFacebookなどのSNSでの情報発信の場合はいかがでしょうか。

SNSの場合は、調べるというよりも、勝手に情報が流れてきますよね。読者にとっては受動的な情報となるので、何かしらのインパクトがないと、わざわざ見ないですし、「いいね!」などのアクションをしてもらえません。なので、印象に残る写真やタイトルを使って、「人の心を揺さぶること」にこだわる意識が大切だと思っています。加えて、基本的には毎日投稿したほうが好ましいのでルーティンとして組み込むようにしています。

また、SNS上では売り込みは絶対ダメですね。お店側が情報発信をする場合は、「ぜひお越しください」ではしつこい印象を与えてしまうので、「今日入荷した商品はこういうコーディネートが合いますよ」というように、読者のためになる情報発信が好かれるのではないでしょうか。

今、銀座のアパレルショップをお手伝いしているのですが、「銀座」というハッシュタグ(#銀座)をつけつつ、なるべく関連性が高いアカウントをフォローして、なおかつ関係性の高いページに「いいね!」をどんどんつけていってくださいとお願いしています。そうすることによって、つけられた相手がこちらのことを気にしたり、見に来てくれたりします。そこできれいな服の写真などを載せていて気に入ってもらえれば、リフォローしてくれるので、関係性を強めることにもつながります。

とはいえ服ばかりを載せるわけではなく、人間味を出すことによって、行ってみたくなるようなきっかけをつくることも必要です。他にも、すべての話題を自社商品にするのではなく、他社を立てることをやってもらったりもしています。

継続的に店舗へ来店させるための仕掛けづくりとは

—店舗の集客につながるコンテンツ設計について悩まれている方も多いと思います。

たとえ同じものを売っていたとしても、楽しい場を構築し続けていたり、ためになる、役に立つ場の構築や情報を発信していたりすれば、人は集まってきます。

私の友人でサバイバルゲームのお店を開いている人がいるのですが、サバイバルゲームのお店は基本的に売っている商品は同じ。友人のお店は、サバゲーが大好きでおそろしく強い社員がいて、お店主催でサバゲーを開催しているんです。

そうすると、強い社員と戦ってみたくて人が集まってくる。なおかつ、その社員はお店の商品を使用していて強いので、同じものを買ったら勝てるのではと、お店に人が買いに来る。そのサイクルがうまく回っているんですね。

来店することによる楽しさや学びを提供しつつ、適度に大会を開催するなど、忘れられないように興味を持ってもらう仕掛けをつくっています。やっぱり楽しさがどこかに入ってないと人は来ないというか、継続的に集まってこないですよね。

染谷昌利公式ブログ
染谷昌利さん

『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』(インプレスジャパン)や『小さな会社のWeb担当者のためのコンテンツマーケティングの常識』(ソシム)などの著者であり、「染谷昌利公式ブログ」で地域活性の情報提供をメインとして発信する染谷昌利さん。最近は、蒲郡市(愛知県)や、鳥取県と日本財団の共同プロジェクトなども携わっています。

 

砂流恵介(すながれ・けいすけ)
PRプランナー/ライター

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。

砂流 恵介
砂流 恵介

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。

砂流 恵介

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。

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