2005年設立
ユーグレナ
創業者・出雲充氏が大学在学中にバングラデシュで貧困を目の当たりにし、栄養失調状態を改善できるユーグレナ(和名:ミドリムシ)の可能性に注目。2005年に設立された。世界で初めてミドリムシの屋外培養に成功したのち、食品・化粧品・バイオ燃料など幅広い事業展開に取り組み、2012年に東証マザーズ、2014年に東証一部上場。
2015年8月、ユーグレナは設立10周年を迎えました。この節目を用し、記念イベントの企画や記念品制作などに取り組みました。その狙いについて、本社経営戦略部 広報IR課課長の安間美央さんにお話しをうかがいました。
今後も継承する「軸」を再確認
企業の創業メンバーは最初の5~10年、「草創期」として事業の基盤づくりに奔走します。そして10年が経過したタイミングで規模の拡大に向けて、新たな仲間を増やしていきます。一方、同時に起こってくるのが創業期をともにしてきたメンバーと、新メンバーの持つ「経験」の格差です。社員がそれぞれで「自社らしさ」を目指そうとしても、バックグラウンドなどから差が出てしまいます。
ユーグレナも1年に約15人のペースで人員が増えており、例外ではありません。そこで今回の10周年は「拡大期」へと移行するために、改めて自社が継承していきたい「軸」を言語化し、再確認する機会としています。まず周年イヤーに入る前の2015年1月、社員全員で行動指針を考えるワークショップを実施。4月には行動指針「ユーグリズム」を策定し、「多様性を楽しむ」「地球を健康に」「オーナーシップ」「常に最新、常に一番」「自己責任」などユーグレナの社員として欠かせない軸を10項目にまとめています。
周年の本質は「設立から現在までの過去に焦点を当てる(時間の観点)」「“会社ごと” に社内外を巻き込む(空間の観点)」ことですが、10周年はまさに後者を中心とした施策を行っています。社員全員が全社視点を持って会社のことを考える─すなわち「“会社ごと” を扱った」という点がポイントです。安間さんは「定めた行動指針を体現し、未来を創っていくのは全員の役割。策定後、自分たちで決めたこととして自己認識を培うことが大切」と言います。
2015年8 月に開かれた10周年グループ全体会議でもその姿勢は貫かれています。海外が拠点のグループ会社などを含め全社員が集まり、複数ある事業の歩みを共有し、グループの未来について考えるワークショップを実施しました。
社員が自社の未来を協力しながら考え、アイデアを出すワークショップは事業への直結が難しいことから、実施をためらう企業も多く見られます。その点、ユーグレナでは、事業が拡大していくにあたり「グループの未来を自分たちも考え続ける」という思いが起点となっています。これまでも、そしてこれからも当事者として“会社ごと” に向き合う─全員が集まる場において考えたいことを、この一点に絞り込みました。目的の明確化が、10周年を節目とするインナーブランディングを前進させた要因のひとつといえるでしょう。