情報拡散の初動の早さがTwitterの特徴
そのタカラトミーのTwitter公式アカウントで動画広告「プロモビデオ」を配信し、大きな話題となった動画が「人生ゲーム 人生に驚きと歓びを篇」だ。
空港の荷物受取口のベルトコンベアを「人生ゲーム」に見立て、旅行者が荷物を受け取るとマス目に書かれたサプライズが次々に仕掛けられる感動的な動画は、公開からわずか2週間で1,000万回の再生を獲得した。動画を制作した背景は何だったのか。
「『人生ゲーム』は1968年の発売開始から50年近く続いているため、リニューアルを打ち出しただけでは新鮮味に欠けます。そこで前夜祭的に盛り上げようと始めたのが今回の動画キャンペーンでした。『人生ゲーム』は特にお正月に遊ぶことの多いゲームなので、正月明けの1月に動画キャンペーンを展開しました」(タカラトミー・竹川氏)。
タカラトミーがTwitterで動画広告を出稿するのはこれが初めて。動画広告の拡散は難しいとの課題を抱える企業が多い中、成果を得られた理由は何だったのか。
「再生回数に重点を置き、拡散前提のコミュニケーションにしたかったので、できるだけ面倒くさいことは言わないという前提で企画しました。『人生ゲーム』のメインターゲットとなる30代から40代の子どものいる母親層はTwitterをそこまで積極的に使っていないのではと懸念があったので、キュレーションメディアに“いいね!”している層を狙うなど、いくつかのセグメントに分けてTwitterで広告出稿をしました。今回はテストケースも兼ねていましたが、拡散スピードが非常に早かったことが良かったですね」(タカラトミー・竹川氏)
セグメント分けして、効率良くTwitter広告を出稿
Twitter Japanではタカラトミーの成功事例をどう見ているのか。
「Twitterのユーザー層はエンターテインメント性の高いものへの反応が非常に高いので『人生ゲーム』の動画広告は爆発的な成果が得られるのではという期待がありました。今回の動画広告の特徴は、引用リツイートが非常に多かったことです。『電車の中で泣いた』、『こんなオチありかよ』など、コメントを付けたリツイートが多いのはユーザーが動画に入り込んで視聴した結果を表しています」(Twitter Japan・斎藤氏)。
また、セグメント分けして広告を配信したことで、どの層に響いたか、どの層が拡散してくれたかのデータを取得でき効率的な広告運用ができたのも功を奏した一因だったと竹川氏は話す。
お客様目線で一緒に盛り上がる情報をTwitterで発信
タカラトミーでは、これまでの知見をベースに、今後より一層Twitterを活用していくそうだ。
「弊社に届くお客様の声を見ていると、タカラトミーの情報を知っているファン、友達や知り合いの口コミが最も商品の購入に繋がります。そのことを意識してTwitter公式アカウントをもっと好きになってもらうことを目指していきたいです」(タカラトミー・齋藤氏)。
「玩具は生活必需品ではなく気分で買って頂く商品ですので、お客様と近い目線で一緒に盛り上がるような温度感で情報発信しないと伝わらないという実感があります。それを体感して育っている世代に弊社のTwitterアカウントを任せています」(タカラトミー・竹川氏)。
2016年のコミュニケーションキーワードを『リアル人生ゲーム』とした「人生ゲーム」は今後、街全体を人生ゲームに見立てた様々な展開を行う。「今のケースを活用できるもの、しにくいものがあると思います。そこは勉強や失敗をしながら知見をためていくしかないと思っています」と竹川氏は語った。