【前回】「A4用紙1ページで整理する「ブランド戦略」【前編】」はこちら
前編では、上の「マンダラ」というフレームワークを用い、ターゲットの設定、ターゲットの当該ブランドに対する意向の分析、ブランドに対する認識の深さの分析、そしてブランドがどのようにターゲットに理解されているかの分析までを行いました。
今回の後編では、マンダラの一番外側にある4項目、自社が動員できるツールの確認を行い、その後、大筋の課題を整理して、具体的な戦略の3本柱を設定していきます。そして最後に、実際の「A4用紙1枚のブランド戦略」を披露します。
ブランディングは「経営のイシュー」
さて、それではさっそくツールの分析からはじめます。円の一番外側にある4項目は、ブランディングに動員できる手段、ツールを表現していますが、マーケティングの4Pをブランディングの文脈に置き換えたものとも言えます。最上部の「コンテンツ・メディア」が広告の領域ですが、規模の大小の差はあれ、ここが動員できないということはないでしょう。
それゆえブランディングといえば必ずといっていいほど、広告が想起されますが、結果として、マーケティングコミュニケーションの範疇に限定して考えられがちです。しかし実際は、この先分析していくとおり、企業のあらゆるセクションを横断した課題であり、経営のイシューであるといえます。
マンダラの左端の「チャネル」では、例えば新しい販路の開拓や、既存の販路の整理・統廃合を検討します。今回の商材はエナジードリンクですが、ドラックストアやコンビニではなく、アウトドアショップや山岳スポーツの専門店で販売することができたら、単に売り上げがあがるのみならず、そのこと自体がブランドイメージに大きな影響を及ぼします。
アップルストアや家電量販店でのアップル製品の扱いを見れば明らかなように、どこで売っているか、どういう文脈でブランドと接触してもらうかは、ブランド体験を決定的に左右します。
「ステークホルダー」は、特に店舗のブランディングやブランドの直営店では、必ず考慮しなければならない要素です。販売員や電話応対をするスタッフ、その他従業員の態度・服装・言葉使いは、ブランドイメージに多大な影響を及ぼします。
最後に右端の「デザイン」に関して、商品そのものの設計・仕様・処方が変更できれば最も効果的ですが、パッケージや展開サイズを工夫するだけでも十分です。アルゴンZXのケースでは、製品のフォーミュラは機能が高く評価されているため変更せず、販路の開拓は営業組織の政治的な調整が困難なため動員不可能、ステークホルダーに調整の余地はなく、「広告」と「パッケージデザイン」で勝負していくことを想定します。